おすすめコンパクトフィルム。価値あるカメラで、最高の瞬間を残す。

CONTAX T3

フィルム写真は、肉眼で見た印象と記憶を再現してくれる。人であれ何であれ、思い出を空気感まで含めて、そのままの形で残してくれるもの。諧調性なども素晴らしく、明るいところから暗いところまで、幅広く描写できる点もフィルムの長所である。つまり記録として残すにはピッタリの存在。そんなフィルムカメラを片手にあらゆる場所へ繰り出したい。

今回特集するのは、オススメの「コンパクトフィルムカメラ」。素晴らしいカメラを実際に撮り歩いた写真と共に綴る。

今こそ、フィルムで残す。

思い出はいつだって、そこに。

昨今、SNSや写真家の影響でフィルム写真が再び脚光を浴びている。デジタルでの撮影が当たり前となった現在にあって、そこには無い価値が見出され始めている。フィルムカメラは、高い描写力を備え、そのレンズを交換することができる一眼レフカメラや、収納しやすいコンパクトカメラなど様々。

CONTAX T3とPREMIUM400にて撮影。

それを生産する各メーカーにもそれぞれ特色があり、フィルムだけでも豊かな個性がある。その多くの違いと組み合わせ方もフィルム写真の楽しみの一つとなっている。

様々なコンパクトフィルムカメラ

写真を撮る上で撮りたいときにサッと撮れるというのは大きなアドバンテージとなる。カメラが小さくて軽く、いつも持ち運べるというだけで大いなる価値がある。それを難なく実現してくれる存在がコンパクトカメラである。それがフィルムカメラであればこそ、カメラにとってのライバルともなったスマホとも差別化されるというもの。

何時もカメラを持ち歩き、撮れる幸せ。

その種類は多様性に富む。このジャンルのカメラを国内外で数多のメーカーが手掛けているが、それぞれに個性というべき魅力が備わっている。絵作り、画角など、どの製品にも特色がある。それはカメラ達が本質的に持ち合わせた自我なのである。

コンパクトフィルム、CONTAX T3で撮影。

中には、一眼レフカメラの大口径レンズに肩を並べる程の超高性能レンズを装備しながら、ポケットに入るほどにまで小型化され、耐久性にも優れた高品位な外装が施されたものまである。そんなカメラの開発をメーカー各社が、前途や威信を賭して手がけた。

コンパクトフィルム、RICOH GR1vで撮影。

技術の粋を結集したカメラは1980年代から1990年代を軸として、各メーカーにとっての主力を担っていた。日本は高度経済成長とその後の未曽有のバブルを経て、経済が失速する。そうした激動の時代をまたにかけた製品たちである。

世界遺産、春日大社の紅葉
コンパクトフィルム、MinoltaTC-1で撮影。

カメラメーカーは挙って、その豊富な資金力を元手に、贅沢なコンパクトフィルムカメラの開発。そして、消費者たちもそんな夢のようなカメラを、手にすることのできる懐を備えた時代であった。その素晴らしい品質は、まさに今でも通用する一級品たちなのである。

コンパクトフィルムが持つ個性。

カメラの選択肢は無尽蔵。いくつか重視するポイントを見つけて、可能な限り自分に合ったカメラ選びをしたいところである。個人的なポイントを列挙する。

01 全自動カメラ。フィルムを自動でセッティングし、巻き上げてくれる。それにより、フィルムの扱いに慣れていなくとも失敗がなくなる。

02 オートフォーカス機能。ピントを素早く合わせることが出来るかどうか。撮りたい一瞬を逃さない。勿論、目測式カメラで遊ぶのも良い。

03 レンズの描写力。ふんわりとした描写や、緻密な描写。そういう具合に自分好みの写りかどうか。

04 サイズ感。 手に馴染むかどうかは案外重要。撮りたいときにすぐ取り出せるとか、落としにくいとか。手ブレにも影響する。

05 ルックス。 やはり見た目も重要。持ち歩きたくなり、使うたびに愛着がわく。ファッションアイテムとして価値を持ったりする事も。

現在のデジタルカメラでは、ごく当たり前となっていても、フィルムカメラ時代においてはとても貴重な機能もある。しかしフィルムカメラ最後期のモデルは高性能なものが多く、最新のデジカメと同じような感覚で撮影できるものもある。

オススメの高級コンパクトを比較

フィルムカメラを初めて買う方にもオススメのカメラたち。上記のポイントを押さえながら、異なるいくつかの画角をもつものを取り上げてみたい。 それぞれ、画角やファインダー内表示、大きさ、重量なども考察した。

カメラ Minolta TC-1 CONTAX T3 CONTAX TVSⅡ
外観
内部表示
発売年 1996年 2001年 1997年
レンズ 28mm F3.5 35mm F2.8 28-56mm F3.5-6.5
大きさ 99x59x29.5mm 105x63x30.5mm 123x67x45.5mm
質量 185g 230g 375g
電池 CR123A CR2 CR123A

案外重要なのは、ファインダー内の見やすさ。それに重量は歩いて撮るという事を考えるととても重要な要素。こうした見落としがちになる部分にもしっかりと目を当てていきたい。

特色あるコンパクトフィルムの中でもオススメするならば、手に入りやすさや長期使用での壊れにくさという観点から言っても個人的には28mmはミノルタTC-1、35mmはコンタックスT3、ズームはコンタックスTVS2というラインナップを考えた。しかし21mmにはリコーGR21、28mmにはリコーGR1vなどを加えても最高の面子になりそうだ。

コンパクトフィルムTC-1、GR1v、T3。

そして、デジタルカメラや一眼レフカメラのサブ機とすることでも、その可能性は幾重にも広がっていく。それはまるで、極北の大地を走る犬ぞりのように、互いを補い合いながら、撮影者を手厚くサポートしてくれるものである。画角や表現の違いを活かし、被写体の魅力を最大限に伝えようとする試みは、最高に面白い。

Minolta TC-1という選択

東大寺大仏殿の前
Minolta TC-1という選択。

その存在は小型を極め、まるで忍者のように周囲に溶け込むMinolta TC-1 。それでいながら性能は圧巻。レンズはミノルタ渾身のGロッコール28mm単焦点、F3.5の完全円形絞り。すべての絞りで美しい真円形のボケ味を実現した。その凄みある描写力も特筆すべきもの。

極めて小柄、素晴らしき性能。

そしてなにより、ピント位置と測光位置を別々に設定して撮影できる、玄人志向の非常に珍しい機種。一眼レフ並みの性能をそのまま名刺サイズまで落とし込んでいるため、撮影者の表現の幅も大きく広がる 。なおかつ全自動のラフさも兼ね備えている。その甲斐もあって多くのプロカメラマンに愛された製品である。

Minolta TC-1の作例

─ 王道を極める。写真機の中の写真機。

世界は、美しい。そして、出会いに溢れているのだった。その時、その場にて、見て聞いて感じることが出来るのは、常に一人。いつも、特等席が用意されている。自分という存在は、この広い世界の中で、変わることの出来ない唯一の招待客。

TC-1の単焦点28mmについて

お土産屋さんと鹿
ただ漠然と街を歩く。

28mmという画角は、漠然と街を歩き視界そのままというイメージ。説明的でありながら、まったく違和感のない絶妙な焦点距離である。そんな写真を眺めると多く発見に導かれる。あの時のあの場所で起こっていた出来事をよくよく観察する。そんな風に楽しむことが出来る。

CONTAX T3という選択

CONTAX T3という選択。

非常にスマートな体躯から放たれる誰しもが魅了される色彩美。コンタックスT3は、35mm F2.8単焦点レンズの明るく、素晴らしい解像力は勿論の事。それに組み合わさるCarl Zeissカールツァイス社特有のコントラストの魔術によって織りなされる彩り。その超越した表現力には脱帽するしかない。 その為、こちらも非常に人気が高く、多くのプロ写真家にも愛用された。

小柄な体躯から放たれる、色彩美。

しかもプログラムオート機能を使うことで、老若男女、誰もが失敗無く撮影する事が出来る。ピント位置のみを決めて、あとはオートフォーカスに任せるだけ。写ルンですのような気軽さも持っていながら、より高性能。スナップ写真の楽しさを最も味わうことが出来るカメラ。

CONTAX T3の作例

─ その色彩に、惚れる。とりこになる。

他所よその空気に身を浸せば、次第に自らを見つめていた。新たな発見が、心のパレットに緻密な色を足し、少しずつ人生というキャンバスを彩っていく。見慣れたはずの日常が、実はこんなにも鮮麗な世界であったのだ。自分の当たり前という蓋が、外された瞬間。

T3の単焦点35mmについて

少しだけ、注目したような感覚。

35mmという焦点距離は、街を漠然と歩いているというよりも何かに少しだけ気を付けた状態。注視しようと意識を傾けたような状態。視線が少しだけ定まった状態。この画角は、説明的でありながら説明的になりすぎないという絶妙な距離感を味わうことが出来る。

contax T3
コンタックス

CONTAX TVSⅡという選択

CONTAX TVSⅡという選択。

コンタックスTシリーズの陰に隠れた存在。TVSシリーズは各社が競って手掛けたコンパクトフィルムの中にあって異色。なぜならズームレンズを搭載した希少な存在だからである。このカメラがより利便性を追求したからと言って、その描写性は決して侮れない。

CONTAX TVS2は、比較的持ちやすい。

Carl Zeissカールツァイス社製のVario Sonnarバリオゾナーは、高解像と高コントラストの高水準の均衡バランスを追求。 人間の視野感覚に近い28-56mmという画角を備えていることで、よりその場の印象をより的確に切り取ることが可能。グリップが手に馴染み、しっかりと構える事ができるのも特徴。そして、こちらにもプログラムオート機能が搭載。これ一台を旅行などに持ち出せば、殆どすべての状況を美しい写真として残すことが出来る。

CONTAX TVSⅡの作例

─ をもっと、面白くする。

もっと足下をじっくりと見てみたい。旅はそんな風に思わせてくれる。いつもと違う所にも誰かの日常があることに今、気が付いた。もっと私の日常を大切にしたくなる。それが旅というもの

TVSⅡのズーム28-56mmについて

人が持つ感覚に近い標準域全体をカバーする28-56mmという2倍率の画角は、旅行などで活躍する。一台を持ち歩くだけで思い出を記録するには完璧に役割を全うしてくれる。それを可能としてくれる安心感だけで、価値あるカメラである。

CONTAX T3

CONTAX TVSⅡ ズームが便利。

人の目は明らかに優れている。普段から見たいものを見分け、ある時は広い視野を持ち、ある時は遠くのものを見分けることができる。また美しい部分だけを見つめることだって、汚い部分だけを見つける事だって出来たりする。画角だけを考えれば、TVSⅡはそんな人の目に少しだけ近づくことができるような感覚を得られる。

contax TVS II
コンタックス

フィルムカメラは一期一会

なぜ、1台目のカメラとしてこのような高性能なものをオススメするのか。それは、コンパクトフィルムカメラは現在中古でしか取り扱いがなく、今買わないと後で欲しくなっても手に入らない場合がでてくるからだ。

デジタルカメラは、スペックの高いものが各メーカーから次々と発売される。自分の好きなタイミングで購入できるだろう。しかし、価格の変動もあり、状態の良いものがなかなか出回らない中古市場では、まさに一期一会の製品たちである。

初めから良いものを手にすると、後悔はない。むしろ、買ってよかったという満足度のほうが遥かに上回る。彼らの個性を考えながら、撮影者の姿勢に合わせたカメラを相棒として迎えるのも良い。一眼レフに比類、いやそれ以上の表現力を各自備えた屈強な奴らだ。人生の最高の一瞬を、最高のカメラで、いつまでも残したい。

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旅とフィルムは、相性が良い。

Minolta TC-1

ドコを切り取っても絵になるのが寺社仏閣。緑に朱色の鳥居が映える。歩いていてもとても気持ちが良く、おみくじで大吉がでれば縁起も良い。旅先では、有名な観光地だけでなく、ひっそりと佇む神社を巡るのも面白い。

CONTAX T3
CONTAX TVSⅡ

波打ち際。潮風を浴びながら歩く。フィルムは、空の青も、海の青も自然で美しく映える。

何をとっても面白い。

明治や昭和の建造物とも相性が良い。気になったものをどんどん撮っても、全てが絵になるのもフィルムの良さ。

日常の商店街なども。

地元の人が買い物をする、昔ながらの商店街に立ち寄ってみるのも良い。レトロな看板と新しくOPENしたカフェなどが混合していて面白い。路地裏へ入ってみると、また違った景色が広がっていたりする。地域性を感じることが出来ると、旅がもっと奥深くなる。

旅先でも活躍する。

全国各地には、うつわの里や酒蔵がある。どちらも古い町並みが残されている所が多く、とてもフィルムスナップと相性が良い。そして、一目ぼれしたお皿や、お気に入りの地酒をお土産に買って帰れば、食卓にも花が咲くというもの。

観光地、城郭を撮る。

旅の最後に、現地のカメラのキタムラで現像、データ化をしてもらう。そして待っている間は、郷土料理に舌鼓。どんな風に撮れていたかと、旅の情景に思いを馳せながら一日を振り返る。

旅×フィルム。まずは「写ルンです」から旅の記憶を残してみるのも良い。このカメラは、本格的なフィルムカメラを持っている人でさえ愛用していたりする。軽量であり何よりもメリットは、フィルムを別途購入し、装填や回収するという工程がなく、ただシャッターを切るだけという気軽さ。

人々の生活が見える、城下町を歩く。

そして、カメラのキタムラでスマホ転送やプリントをしてもらうことで、もっともお手軽にフィルムスナップを楽しむことができる。

チェキという選択も。

もしくは、インスタントカメラ「チェキ」という選択肢も大いにアリだ。現像に出す必要がなく、近くに現像店が無い場合でも可。この方法はどちらも新品が安価で手に入れやすいのも嬉しい。

まずは、”撮るを楽しむ“ことがフィルムカメラの入り口。もっと気軽に旅をフィルムで残したいものである。思い出を形にして残すところから。

思い出はいつだって、そこにある。

コンパクトフィルムを片手に。

現物としての価値を実際に手にすることのできるフィルム。それから第一線級の表現力は、そんな今だからこそ必要とされる価値観である。そして、スマホ同様に持ち運び、圧倒的な描写力で記念写真や記録写真を撮ることが出来るのは、至福の喜びである。

現像され出てくる写真。そこにはやはり、カメラの持つ大切な価値が備わっている。

CONTAX T3、鮮やかな空。

優れたラインナップの中から一台に絞って愛機として常に傍らに置くのも良い。それでも必ずや撮影者の意図と期待に応えてくれる存在が、コンパクトフィルムカメラ。常に大役を見事にこなすことのできる逸品の数々。

その瞬間、カメラを構えて撮る。シャッターを切った数だけ、発見がある。 最高の出会いは、人生をも変える。

思い出は、いつだってそこに。

カメラと町歩きの指南本

歩くのがもっと楽しくなる 旅ノート・散歩ノートのつくりかた  奥野宣之 著

旅先で貰うパンフレットや、撮った写真のまとめ方を作例を交えながら紹介されている。旅の楽しみ方のヒントもたくさんあり、著者のノートを眺めているだけで旅に出たくなってくる。

ZINE「えぬたな」今回の各記事

特集したコンパクトフィルムカメラの、魅力や使い方をより詳しく掲載。そんな「カメラを片手に旅をする。」発見と出会いが、少しずつ心の豊かさを取り戻していく。