ZINEえぬたな/ポートフォリオ&アーカイブス

写真・文/えぬたな

撮らせて貰えるものを撮る。”というのは、私的な写真姿勢である。自然というのは、その時その場所でしか巡り合うことのできない光景でもある。移ろいゆく光。その光は多くのものを主役にしてくれる。何かにこだわり主体となるよりも、その身を成り行きに任せて客体となる。つまり「自らしかる」状態になる事の方が重要である気がしている。写真は、私的な世界の捉え方、ものの見方を露出する事には成れど、元来魅力を備えているのは真実、現実の自然のほうなのであって、ただそれを切り取らせてもらっているだけに過ぎないのである。

THE ART OF NATURE

出会いを求めて写真を撮る。そうすると益々自然の美しさの虜となっていくのだ。時の移ろいは留まる事を知らない。日々の生活に追われていると少し鈍感になるようだ。ただその”時”を切り取ってみると、変化の著しさに驚嘆する。例え同じ場所に幾度と赴いたとしても、そこにはきっと新しい風が吹き抜けているのだ。写真はそんな当たり前のことを私に気付かせてくれた。日常の微細な変化に目を凝らしてみてみる。それは大きな感動となって心を満たしていくのが分かった。

THE COMMONS

意図せず発見する驚き、そして美しさが普遍性の中に潜んでいる事がある。身の回りや足下、そして頭上を見まわしてみると新しい世界が広がっている。普遍的であると同時に、それはきっと人類にとっての共有財産コモンズ。誰のものでもなく、誰かが決して独占する事も出来ない。今を生きる人々だけでなく、受け継がれたたすきを次世代へ繋ぐように時を超えて相続されるべき遺産。そこに、人間が動物として本質的に欲する明らかな価値が宿っているのである。