Champion社のスウェットシャツは誕生それ以来、元祖というだけあって広く深く支持され続けている。キング・オブ・スウェットの異名通り、その質感や着心地やデザインの良さは、他の追随を寄せ付けない。実用の中で生まれた製品であって、更には大学コーチ陣による口コミで広まった良品。今までもこれからもずっと、着る者全てを魅了してくれるであろう逸品なのである。
またスウェットシャツには、裏地の種類に裏起毛や裏毛のものがある。名前は似ているところであるが、この違いは案外に小さいようで大きい。この仕様の違いについても理解した上で製品を選ぶと、より的確に各人の好みや用途に合わせたスウェットと出会うことが出来る。ちなみに裏起毛をテリーフリース、裏毛をフレンチテリーと呼ぶこともある。
スウェットシャツの裏毛と裏起毛、生地感の違い。
まずスウェットシャツの裏毛生地とは、一般的なタオル地のスウェット生地をイメージする方が良い。さらさらとしたドライな肌触りが特徴。同時に吸水性、保湿性に優れており、激しい運動などにも向いている。チャンピオンのフレンチテリーは、この裏毛生地に相当する。通常のパイル地よりも軽くてソフトタッチな生地感により、より着心地が良いスウェットシャツ。
次にスウェットシャツの裏起毛生地とは、一般的なフリース生地とイメージする方が良い。生地を毛羽立たせて、ふわふわとした肌触りが特徴。空気と水分を蓄える事によって、著しく優れた保温効果を実現する。チャンピオンのラインでは、赤タグや青タグ、9ozテリーフリースやスーパーテリーフリースも裏起毛のスウェットシャツに相当する。
スウェットシャツは、このように外目から見た感じに大して変わり映えがしなくとも、裏地の生地感の違いによって、着用者にとって着心地や使い道が多少異なってくる。よりその時の状況に応じて選択したいもの。生地の厚さだけでなく、このような裏地の仕様もチェックしながら好みのアイテムを探してみると吉である。
チャンピオンスウェット、起毛と裏起毛の着こなしクイズ。
さて早速ながら、上記を鑑みたうえで次のようなスウェットシャツの場合は、裏地の仕様が裏毛か裏起毛のどちらであろうか。クイズでおさらいしてみたい。
Answer:○ 裏起毛のスウェットシャツである。
ちなみにこれは、チャンピオンのHomage to Archivesというラインの製品。
Answer:✖ 裏毛のスウェットシャツである。
ちなみにこれは、チャンピオンのスタンダードというラインの製品。
即ち裏毛の場合には、タオルによく用いられるループ状に織り込んだパイル地が用いられている。また裏起毛の場合には、保温効果が高くて柔らかなフリース生地が用いられていると考えると良い。汗ばむ季節であっても、年間を通して長らく用いる事が出来るのは裏毛仕様のスウェット。より肌寒い季節に効果的なのが裏起毛仕様のスウェットである。このような観点から、使用感に応じた裏地のスウェットを適宜選択したいものである。
フレンチテリーとは、日本では裏毛と呼ばれるパイル生地。
つまりフレンチテリーとは、日本においては裏毛とも一般に称されるパイル生地。よくよくタオルなどで用いられるパイル生地のことをテリークロス、テリー織りとも呼ばれている。テリークロスの場合は、表地や裏地ともにループ状の織り方がなされている。伸縮性や吸水性、肌触りなどに優れていることが特徴。時にパジャマなどで用いられる。対してこのフレンチテリーの場合は、片側の一方がループ織り、もう一方が平織りであることが特徴。テリー生地の特徴を兼ね備えており、運動着などに用いられている。
スウェットシャツのフレンチテリー、裏毛生地においては、裏地がループ織り、表地が平織りの仕様であることが一般的。またテリークロスが比較的厚手であるのに比して、フレンチテリーの場合は比較的薄手に作ることが可能である。その為、レイヤリングにも適している。どうにかするとオールシーズン着こなすことも十分に可能な素材感であると言える。当然に3シーズン活躍する事は間違いない。
Champion、人気のテリーフリースとフレンチテリーを比較。
チャンピオンにおける9ozテリーフリースと10ozフレンチテリーは、それぞれスウェット生地における裏起毛と裏毛に相当している。いずれも比較的薄手のモデルで着心地は素晴らしいものがあり、見た目にはカッコよく、そして気持ち良く着こなす事ができる逸品なのである。
ところでチャンピオンのスウェット支持される理由。それは運動競技用の衣類として、1924年にミシガン大学がスウェットシャツを採用。するとそこから爆発的に全米各地で広まった。更には学校生協が取り扱うようになると、学生のカジュアルウェアとしても定着する事になったのである。そこには低価格と高品質を実現したチャンピオンの企業努力と執念があった。
現在までもその事実は変わらず、たとえ中国製であるにも関わらず高い品質を維持し、更に米国製であるにも関わらず安い価格を実現し続ける。長い目で見ても、際立って優れた費用対効果の良さは、チャンピオンだからこそ成し遂げられた実績である。そんなスウェットシャツを手にする喜び、それは人類の遺産的価値と着心地の良さという実益を兼ね備えた、名品に対する感慨でもある。
ちなみにスウェットの非常にいいポイントは、活動的で過ごし易いラフな外着としてお洒落アイテムにもなれど、少しずつ経年変化していけば家で着るアイテムとしてもお気に入りの一着になるに違いない点であろう。完全に着潰すほどに着ていたい。着れば着る程、身体へ次第に馴染みゆく感覚を得てしまうと、捨てるのも惜しいくらいになってしまうもの。特にチャンピオンの信頼感あるタフなスウェットならば、相当に長い間を共に過ごすことが出来るのは嬉しい。
レビュー:MADE IN USA 9oz TERRY FLEECE
テリーフリースは、90年代に名声をあげたクラシックフリースを土台に開発。チャンピオン自身もその特徴として「糸から縫製までアメリカ製に拘った、MADE IN U.S.Aシリーズ」と謳っているように、同社を代表するフラッグシップモデルでもある「赤タグ」と良く似た上質なる製品である。それから袖に腕を通した時に感じる肌触りの気持ち良さは、まさにそれを彷彿とさせる。
素材構成として、9ozテリーフリースにはUSAコットンが85%、ポリエステルが15%(オックスフォードグレーには、USAコットン80%、ポリエステル20%)用いられており、赤タグのスウェットには、USAコットン90%、ポリエステル10%が用いられている。このような素材感は非常に似通っている為に、肌触りの感覚が良いのは当然であろうとさえ思える。
ただしそれと似て非なる部分として、9ozである事によってより軽量、柔軟でフィット感に優れているところ、肩肘張らずに着こなす事が出来るところ、そしてリバースウェーブが用いられていないところがある。同時にフリース素材である事から、フレンチテリーと比べれば防寒色が強い。やはりこの場合は、少し肌寒位時期に用いるべき製品であろう。しかも薄手であって20%程度含まれている化繊の効果によって、一般的な裏起毛のスウェットと比して圧倒的に乾きやすいというのも特徴。
春先や秋口には薄手であるが故の丁度良い生地感が心地良いのであるし、真冬にはインナーとしても大活躍する。そうして、この上からフリースベストやアウターと、少しずつレイヤーを重ねる着こなしが便利である。薄手でありながら暖かな衣服であるから、コートやジャケットの下に来たとしても動き易さが確保される。しかも室内の暖房の効いた部屋であっても、そのレイヤーを脱ぎ着する事で快適な温度調整が行えるという利便性が好ましい。
それに薄手の9ozテリーフリースの場合、冬場のTシャツ感覚で着るというのも一興。80%の上質な綿が用いられていることで、素肌に触れた際には天然素材由来の肌触りや馴染みの良さを実感できる事この上ない。それでありながら、同時に20%含まれたポリエステルによってフリース自体が空気を保持し、また吸湿する事による発熱効果を十分に実感することが出来る。身も心も温暖に包まれる事この上ない。動きやすく軽やかな着心地を最大限に感じる事のできるスウェットなのである。
勿論、一枚でも十二分に暖かさが確保されるのであるが、たとえばパタゴニアのクラシックレトロXベストをアウターとして羽織るというのであれば、真冬の日中なども非常に過ごし易い。同時にGORE-TEXウェアなどを軽々と羽織るというのであれば、これもまた最高の保温性が確保される事この上ないものである。
そのような際でも9ozという薄手の生地感であればこそ、肩ひじ張らずに快適性を常に維持してくれる。暖かく、軽い。たったそれだけのことだけで、このスウェットシャツは最高の存在となってくれる。
レビュー:REVERSE WEAVE 10oz FRENCH TERRY
リバースウェーブが採用されている事により、その動き易さは当然ながら極めて優れている。更に汗をかいて洗濯する場合にでも縦縮みが少ない特性は重宝するものである。そして用いられているフレンチテリーは、薄手で追従性に優れたパイル生地が用いられており、春夏の朝晩涼やかな時期において大活躍する。真夏の時期においては、冷房の効いた肌寒い室内、そんな場所でちょこっと羽織るのにも丁度良い。
チャンピオンの10ozフレンチテリーは、特に幅広い季節に様々な場所で用いる事が出来る。その為、この素材のジップアップパーカーは、一枚持っておくと何かと重宝する。春夏においてはアウターとしても活躍、秋冬においてはミドルレイヤーとしても活躍。そんな風にしてオールシーズンを通して活用する事が出来るのは嬉しいところ。製造国は中国ではあるが、青タグ同様に製品自体の品質はチャンピオンならではの良質さが感じられる。
ちなみにこの製品の場合には、綿が100%用いられており、天然素材ならではの肌触り健やかな着心地が、優れて気持ちが良い。特に同じような裏毛スウェットであっても、70年代から80年代に主に使われていたとされる三者混裏毛パイル生地には、綿65%、レーヨン25%、ポリエステル10%が用いられていて、しかもより肉厚。10ozフレンチテリーの軽快感とは、少々活躍の場が異なっているように思える。
更にこの10ozフレンチテリーのスウェットシャツには、半袖のモデルも存在している。その秀逸な点として、涼やかであるところが上げられる。切りっぱなしの袖口など、デザイン的にも印象的。Tシャツ一枚では心許ない状況でも、薄手のスウェットシャツをその代替として用いるというのは、贅沢ながら頼もしいコーディネートである。
チャンピオンにおけるトップスのサイズ感。着こなし。
身長約170cm、体重約60kg。中肉中背メンズの場合には、Mサイズが概して丁度良く着こなすことが出来る。チャンピオンは運動着やワーク、ミリタリーとしての原点がある為に動き易さに主眼が置かれている。トップスが腰丈であるというのもスポーツライク。一般的なスウェット、トレーナーやパーカーの着こなしとして、よりストリートなどのカジュアルなシーンで用いられる場合には、Lサイズであっても全然問題ない。
上記はチャンピオンの青タグ。スウェットパーカーである。Sサイズであっても中肉中背であれば問題なく着こなすことは可能。シルエットとしてはすっきりとしたタイトなコーディネートではあれど、もう少し肩ひじ張らずに気軽に着こなしたいという場合には、やはりMサイズを選ぶ方が良いようである。
フードを被ったりしたいということなら、やはりSサイズよりは一回り大きい方が良いという印象だ。ちなみにここで紹介したチャンピオンの名品でもある赤タグ、青タグ共に裏起毛の製品である。秋冬春とスリーシーズン暖かで、カッコ良く、そして過ごし易い日常を手に入れる事が出来る。
春夏コーデにも、チャンピオンのリバースウェーブ半袖スウェット。
春夏を含む幅広いシーズンに何かと重宝するのが、半袖のスウェットシャツである。しかも裏毛生地の仕様であるから、Tシャツ感覚で柔軟で動きやすい。着心地の良いスウェットを汗ばむ季節でも着用する事が出来るのは、特別に魅力的である。下記は、より肉厚なリバースウェーブ。袖口にもリブが配されており、動き易さや追従性に比重が置かれている。勿論の事ながら、脇腹にはサイドアクションリブ。またリブの境目には着心地を極めるフラットシーマという縫製が施されている。
リバースウェーブは洗濯と乾燥を繰り返しても、縦方向への縮みが極めて少ない。よってより暖かな気候であっても、運動し汗をかいてガシガシと使い回す事も出来るし、是非ともそのように着たいものである。ちなみにこの場合、下着を身に着けずにスウェットシャツ一枚で過ごすのも一興で、その様な着方であっても肌触りは格別に気持ちが良い。
もっと暑い夏にも活躍するのが、やはりこの10オンスの薄い生地感のリバースウェーブ。薄く軽いだけでなく、袖口が切りっぱなしのようなデザインになっており、より通気性に優れている。裏毛生地であるから汗をかいても吸湿性に優れており快適で過ごし易い。汗ばむような季節であっても特段問題にならない事もポイント。しかもスウェットシャツは定番アイテムとして、老若男女を問わずして誰しもが気軽に似合う着こなしが出来る。
実用の為に生まれた逸品であるからこそ、優れて着心地も好い。半袖スウェットも休日コーデとして、ワードローブに備えてあると大変に重宝するところである。とはいえ半袖スウェットであっても肉厚生地が魅力でもある11.5オンスの青タグ仕様のモデルも存在している。この場合、意外なことに秋冬でも大活躍する。長袖のインナーを着込む事で、袖がごわつかず活動的に過ごす場合にでも邪魔にならないという所も利点。