リバーサルフィルムとは。現像の仕方から鑑賞法やデータ化まで。

カメラ

リバーサルフィルムとは、俗に言うところのポジフィルムである。ネガフィルムと対をなすフィルム表現、現像後に反転させる必要なく、現像フィルムそのものを愛でる事ができる代物だ。

そのポジフィルムの特徴としては、ラチテュードが狭く、適正露出での正確な撮影が求められる点が挙げられる。同時に写真表現としては、高いコントラストが得られる事によって、その美しい表現は見る者全てを魅了する。

リバーサルフィルムという、感動の表現。

特に従来の写真家は、雑誌等に掲載する写真の表現を出来る限り意思に沿ったものにしようと、ポジフィルムを活用していた。例えば動物写真家、星野道夫氏の写真展においては現像されたポジフィルムが展示されており、ライトボックスで照らされた現像フィルムをルーペで覗くという仕掛けになっていた。そのとき受けた写真表現に対する衝撃は、そのものに対する畏敬の念すら覚えるようなものであった。

リバーサルフィルムをライトボックスで愛でる。

実際にポジフィルムで撮影して現像してみると、その美しさに惚れ惚れするものである。現像されたフィルムは、何をせずともちょっとした光に照らし、かざしてみるという方法でも容易に楽しむ事ができる。しかしやはりライトボックスにフィルムを置き、ルーペで観賞したときの感動は何物にも換え難い魅力。そして、それこそがリバーサルフィルムことポジフィルムの本領であるとさえ思えるのである。

リバーサルフィルムを楽しむ、3つの要点。

写真を撮るという行為そのものが、そもそも心から湧き上がる欲求、あるいは、心象の赴くままに。そうして何かしらの動機によって支えられている。特に各々にとって魅力ある被写体を撮影するにあたっては、撮影に臨む誰もが無心になり、没頭できるものである。

現像されたポジフィルムをライトに照らし、それをルーペで覗く行為は、まさに撮影時の感情を呼び覚ます。それはまるで、ファインダーを覗きながら撮影に没頭していたその時の感覚そのもの。それ程に強烈なるインパクトを与えてくれる。そしてそのような力のある記録媒体が、今を以て存在していることに更なる感動を得るのである。

point 01. ライトボックスに乗せる。

ライトボックスに乗せて、楽しむ。

point 02. ルーペで覗く。

ルーペで、覗く。

point 03. データ化する。

リバーサルフィルムの写真表現としての価値は至極。この素晴らしさを堪能すると、必ずや誰しもが感動に至るものである。フィルムそのものを愛でる楽しみを享受し、更にデータ化する事によりその写真を何時でも楽しめるようになる。そればかりか、その存在自体が物理的にデータをバックアップした事にもなる。こうしてアナデジ世代の特権を謳歌できるものである。

リバーサルフィルム観賞、あると便利な道具。

ポジフィルム鑑賞に、便利な道具たち。

ポジフィルムを楽しむにあたって重要なのは、まずはそのフィルムの存在である。様々な種類のフィルムが販売されているが、一般的なカメラチェーン大手において、その現像は外注になっている場合も多い。その為、当日仕上げなどが現在では少しずつ難しくなっているのが現状だ。そうした手間を掛けてでも、愛でてみたくなるのがポジフィルム。中でも手に入りやすく、風景写真などで活躍するのが、富士フイルムのVelvia。

フジカラーなどが販売しているLEDのライトボックスを使用すると色評価的にも問題無く観賞する事ができる。ちなみに進光社のOEM製品である。もっとも安価で済ませたいならば、イラストなどで用いられるトライテック社などのトレース台を使用するのも良い。ちなみに色温度5000k、平均演色評価数100に近い製品を選ぶと、ポジフィルムを堪能するに相応わしい。

このライトボックスの存在如何によって、ポジフィルムがその真価を発揮できるか否かにも関係する。勿論、これが無くとも窓際に吊るしてみたり、蛍光灯にかざしてみたりするだけでも十分楽しむことはできる。より鑑賞環境を整えたいならば重要な道具である。参考に挙げた製品は、いずれも日本製で安心感も大きい。

選択肢が狭まってきている写真鑑賞用のルーペ。この存在もまたより良い鑑賞環境を整えるに当たっては重要。フィルムは自然の法則によって完成する表現である。デジタルにおいても高精細なカメラなどが誕生しているが、それでもまだ画素という境目を持たないフィルムは、大いなる情報量を保っている。

現像されたフィルムをルーペで隅々まで愛でる。それは、まさに撮影時の感動が蘇る至高の行為なのである。観賞用には倍率の低いものを、ピントチェックなどには倍率の高いものを、そうした使い分けも良い。

フィルムを扱う際には、素手で触るのは野暮というもの。その保存状態をよくしていたいと願うならば、可能な限り綺麗な状態を維持する必要がある。もしも汚れてしまった場合には、レンズ清掃と同じように埃をブロワーで飛ばし、または不意にも付着を許してしまった汚れを可能な限りフィルムクリーナーなどで清掃しておきたいものである。この場合、フィルムをスキャンしようという際にも使える道具となる。

フィルムをデジタイズするようなデュープ作業。比較的長いままの「スリーブ」と一枚一枚マウントに閉じられた「スライドマウント」とがある。フィルムスキャンの方法によっても、スリーブが良い場合も、スライドマウントが良い場合もある。いずれも好みの問題ではあるけれど、全体を愛でたい場合には、スリーブはとても便利。同時にスライドマウントをそのまま窓際に吊り下げて楽しむという方法も楽しい。そうしてポジフィルムが元来備えたる美しさを堪能したい。

現像フィルムのスリーブとマウントとは。

ポジフィルムを現像に出す際に尋ねられる事もある、スリーブ仕上げと、マウント仕上げについて記しておきたい。まずはスリーブ仕上げとは、ネガ現像で一般的に用いられる方法。まとめて保管する際に便利なのであるが、数カットごとに区切られているもの。そしてマウント仕上げとは、プラスチックフレームに1カットずつ収められているもの。分別して保管する際などに便利な方法である。

マウント仕上げを選ぶと、現像の際に料金的にも若干値上がりする。ポジフィルム自体を1カットごとにコンテンストに応募しようとする際などにはマウント仕上げの方が利便性はある。そのときには、スリーブの中から必要なカットを選んでから個人的に別売りのプラスチックマウントを購入。それをスライドマウントにする事もできる。

ここで用いられるマウントは、スライドやマウントスライドなど多くの呼び方が定着しているようであるが、全て同じことを指している事に留意したい。

ポジフィルムとは。

ポジフィルムとは、陽画フィルムとも言われるもの。陰画と呼ばれるネガフィルムとは異なり、現像フィルム自体を色や明るさに変更を加えることなく、そのものが写真として完成されている。それゆえ、現像フィルムそのものを鑑賞する楽しさを味わうことが出来る。実際、スライドマウントを映写機プロジェクターで堪能する方法は一般的であった。

リバーサルフィルムは、そのように陽画を得ることが出来るという意味でもポジフィルムに該当する。厳密には陽画を得る方法は他にもある為、ポジフィルムとリバーサルフィルムは完全に一致したイコール関係ではない。しかし、陽画を得るポジとしての枠組みの中にリバーサルは収まっており、殆ど同質なるものという事が出来る。

もちろん現在でも映写機プロジェクターを用いて写真を愛でる事もできる。その場合、当時のようにマウントスライドを用いるのも良し、データ化した写真自体を大きなテレビに表示させて楽しむ事は勿論、現在のデジタル映写機を用いて天井に映し出すのも良し。写真を大きく映し出すという楽しみ方も存在価値がある。

現像フィルムの保管の方法

フィルムはアナログな記録方法。現像フィルムは大切に保管しておきたい。また現像と同時にデジタル化するのも良い。アナログとデジタルで同時に保存する事で、その安心感は計り知れないものとなる。ハードディスクが破損しようと、フィルムそのものが存在していれば良い。それはバックアップの一つの形態である。可能な限り環境の安定した冷暗所に保管しておくと良い。

フィルムケースは、様々な種類が存在している。スリーブはフィルム用のファイルケースに保存すると整理整頓も容易に出来る。フジカラーのネガファイルなどを用いていると、収納も簡単に行える為、現像の都度に苦労がない。収納量も圧倒的なものがあり、頼り甲斐がある。

リバーサルフィルムのデータ化、いくつかの方法。

カメラ店で、現像と同時にCD化を依頼。

リバーサルフィルムに限らず、ネガフィルムやインスタントフィルムなどもデータ化する事で、現代的な写真の活用法とも合致する。パソコンに取り込んだり、スマホに取り込んだりして、いつでも写真を愛でる事も可能になるのは嬉しい。そうしてフィルム表現をもっとカジュアルに楽しみたい。

データ化については、カメラのキタムラなどの一般的なカメラ店で、現像と同時にCD化を依頼する事が可能である。プロに依頼するこのような方法は実に有意義であるが、外注でポジフィルムの現像を行なっている場合に於いては、現像だけの場合よりもより日数が掛かる可能性がある。

その時間が惜しいという場合には自家デジタイズが必要になるのであるが、そうするとフィルムスキャナーを用いる場合や既存のカメラでフィルム自体を撮影する方法などが考えられる。

スキャナーでいうところ、エプソンやキヤノンと言った大手メーカーもフィルムスキャンに対応した高性能のCCDフラットベットスキャナーを開発している為、実に心強い。このように自ら行おうとする場合には、特に埃などの対策もしっかりとしたいものである。

高い画質で撮影しようという場合には、ピントの調整やスキャンの時間が数十分単位で掛かったりと程々に暇を要する。ただし、空き時間を利用してスキャンすれば良いのであるが。

既存の一眼カメラでフィルムスキャンする場合には、例えば、ニコンが発売しているフィルムデジタイズアダプターES-2などを用いると良い。この製品の場合、現像フィルムのスリーブにもスライドマウントにも対応している安心感がある。またデジタル一眼にマクロレンズを装着して、現像フィルムを撮影するだけであるという点も気楽で良い。

ただしこの場合、後ろから安定した光で照らす必要があり、カメラやレンズの規格を対応させる為の工夫も必要になる。その代わりに時間は殆ど要らず、その点手っ取り早いという最大の利点もある。

レビュー:リバーサルフィルムとは。またその魅力。

フィルムと言えば、一般的にはネガフィルムを思い浮かべるものである。現像フィルムは色相反転した状態のスリーブが一般的。そしてその表現としてもラチチュードが非常に広く、コントラストもあまり高くない。柔らかで自然な風合いが持ち味である。その表現力と情報量は、圧倒的に優れているのであるものである。

しかしリバーサルフィルムは、その反対にラチチュードが比較的狭く、コントラストが高く、現実のように色鮮やかである。現像後に色相反転させる必要がなく、現像フィルムそのものを鑑賞する事ができる持ち味がある。これを陽画というが、性質としてはデジタルと似ていても自然的な化学反応によって得られた表現力には、またそれとは異なった魅力が詰まっている。

またネガフィルムと異なり、適正露出がより求められる。比較的撮影時の色や明るさなどが反映され、その後に修正する事が難しい為である。その特性は、逆に撮影者の意図をより表現として反映させやすいというメリットがある。特に入稿し印刷などを行う際には、その色校正を行う場合に元々の色として指標にし易い。

フィルムの構造そのものは、リバーサルであろうとネガフィルムであろうと同じである。しかしながら、現像工程において、ネガフィルムは最初に発色現像を行い、リバーサルフィルムにおいては黒白現像後にカブリ処理を行ってから、同様の発色現像を行う。このカブリ処理段階こそが、反転像を得るプロセスである。

現像に用いられる方法として、現在コダックの開発したE-6現像という方法が用いられているが、これは富士フィルムの用いているCR-56現像と完全なる互換性がある。以前の現像方法においては、カブリ処理による再露光時に退色する欠点があった。しかし現在の方法においては、薬品浴によって反転像が得られるようになり、鮮やかな色を保つ事が出来るようになっている。

リバーサルフィルムの特に優れたポイント

昨今、デジタル化が進みゆく中。アナログ表現の素晴らしさに再び光が当てられ始めている。例えば音楽の世界にあっては、アナログレコードの音域の広さは以前から指摘されている点である。音を収録してデジタル信号へと変換するに当たり、現実の周波数や波形をそのままの形で録音することは難しいのである。

これは現実世界の光をデジタル信号へと変換することで失われる光の波形も同様のこと。実は光も音も波という性質を持っており、光は電磁波、音は音波として存在する。アナログとしてのフィルム表現は化学反応という自然の働きによって、この波を捉えることが比較的行えていることになるのである。

リバーサルフィルムは、デジタルと同様にラチチュードが狭く、コントラスト表現が得意である。しかしながら光の本質的なニュアンスまでを捉えられるのは、やはりフィルムの得意とする所なのである。しかもその情報量は凄まじく、現代の技術でデジタルリマスターするにしても追いつけないほどに精細。

次に着目すべきところとして、実物を保存したり現像フィルムをそのまま愛でたりすることが出来るという利点を掲げたい。デジタル表現にあっては、電力や表示させる媒体が必要である。そしてそのデータが失われた時の悲壮感は甚だしい。津波や台風や地震、多くの災害に見舞われる日本列島。そんな中、記録媒体としてのアナログはやはり見直され始めている。

フィルムをデジタル化し、昨今の利便性に則りつつも現物が手元に残っているという安心。それ自体をバックアップデータとして保管できるという魅力。危機への備えは、多様性でしか賄えない。デジタルと共にフィルムで撮影することで、掛け替えの無い記憶を未来へ遺すことが可能となるのである。

リバーサルフィルムの気になるポイント

フィルム全般に言えることであるが、選択肢が限られつつあるところである。以前からすると、少しずつ製造しているメーカーも少なくなり、品種も少なくなってきている。製造する企業も企業であるからには、利潤を無視できないものである。需要が落ち込めば、供給が減るのは致し方のない事。ただしこの素晴らしい表現を用いることが出来る今の時代を謳歌したい。

現像できるカメラ店も少しずつ少なくなっている。外注が多くなっており、現像に時間がかかることも少なくない。またフィルム自体や現像にかかる料金も少しずつ値上がりしている。これもまた原材料の調達や需給の問題で、致し方のない事実ではある。

ただしフィルムカメラ自体が安価な昨今。カメラにお金を払うのではなく、フィルムにお金を払っていると考えると何ら問題なく使用することが出来る。この素晴らしき表現が失われていくことに侘しさを感じながらも、アナデジ世代として選択肢が失われるその日まで、その恩恵を享受していたいものである。