クラブシーン、音楽シーンでは著名なストリートウェアブランドでもあるHeron Preston。代表的な製品として、モックネックTシャツが挙げられる。ファッションにも先進的なミュージシャンやDJなどが愛用していたりする。キリル文字の「CTNNb」という刺繍は、特にクラブシーンで顕著では在れど、時に何かの拍子に目にすることもあったりする。この文字の意味は英語でいうところ「STYLE」と同義との事である。またブランドのカラーでもある色鮮やかなオレンジも特徴的である。
そもそもヘロンプレストンとは、サンフランシスコ出身のアーティストでもありDJでもあるデザイナー自身の名前を用いて2016年に立ち上げられたブランドである。ニューヨークにあるパーソンズ美術大学でデザインを学んだあとにオフホワイトの創業者らとともに、ストリートウェアのアートディレクションで活動を開始する。当ブランドにおいては、環境意識と斬新なデザインを融合させ、また数多くコラボを手掛けている。スポーツウェアブランドであるナイキ、ワークウェアブランドであるキャタピラーやカーハートやリーバイスなどといった名だたる大企業とも組んでアパレルを展開してきた。
キリル文字が特徴的、ヘロンプレストンのモックネック。
特にモックネックTシャツは、インナーとしてもアウターとしても使い回しに優れた逸品である。同時にビッグシルエットなサイズ感は、このブランドの特徴ともいえる。モックネックは首元が締まり、ハイネックやタートルネックに比すれば低い位置の首元。高すぎず低すぎず、中庸なシルエットは実に使い勝手に優れている。その首元には、このブランドを象徴する文字「CTNNb」。カラー展開は、白や黒やネイビーや勿論オレンジなどがあり、それらも優れてカッコ良い。
このTシャツをインナーとして着込めば、上品なアクセントとなり得る。襟のあるシャツと組み合わせたりするのも一興で、たとえボタンを開けていたとしても、スッキリとしてだらしなく見えたりしないのも嬉しい点である。喉ぼとけの下辺りまでの長さであるし、少し空間にゆとりがあるデザインであるから、首が締まって苦しく感じるような違和感も無い絶妙な塩梅が心地よい。スウェットパーカーなどと組み合わせても、カッコ良く着こなすことが出来る。
しかもヘロンプレストンのモックネックTシャツは、起毛素材の質感に優れていて、生地の目が非常に密に織り込まれている。欧州屈指のテキスタイル産地でもあるポルトガル製である事も所有欲を引き立てるところである。ポルトガル製の衣類は、例えばフィルソンのシャツも同様に良質さを感じ得る事から、ヘロンプレストンのTシャツによって、より好感を持つ事となった。モックネックのロンTをスウェットシャツに合わせてみる。またこれもこれで中々に良い。
このTシャツは、実にルーズフィットなシルエットである。音楽シーンに傾倒する着こなしならば、アシッドハウス、デトロイトテクノなどで好まれたような踊りやすく動きやすい、そんなビッグシルエットとの相性も非常に良い。ボトムスにゆったりとしたレングスのアイテムを持ってきて、マンチェスターでの狂乱したクラブシーンやレイブカルチャーを思わせる着こなしなんてのも楽しくなってくる。
ヘロンプレストンのモックネックTシャツ、サイズ感。
ヘロンプレストンのモックネックTシャツは、かなりのビッグシルエットである。表記サイズからすれば、2サイズ程小さめで見積もってもお釣りが来るくらいに大きい。そのように考えると、表記サイズは欧米人を想定しながらも、そんな彼らが大きめの着用感覚で着こなすイメージで作られているのであろうか。
表記のサイズ | XS | S | M | L | XL |
着用感覚のサイズ(ゆったり) | M | L | XL | XXL | 3L |
上記はXSサイズであるが、身長約170cm、体重60kg弱の標準体型であれば、大抵の衣服の場合はMサイズで丁度良く着ることができる。ただしこのアイテムの場合は、XSサイズであってもルーズなフィット感であるから、普段の感覚で言うところLサイズと同等に見做しても良い位である。そもそもデザインが想定しているものなのか、袖の長さはXSであっても長いように感じるところである。
意識的な錯誤が新しい、ヘロンプレストンとリーバイス501のコラボ。
リーバイスの名作中の名作である501とヘロンプレストンのコラボ。言わずと知れた501の無骨で洗練、完成したデザインにヘロンプレストンの息吹が吹き込まれている。服の平置きやハンガーに吊るされたものをパット見た感じでは奇天烈な印象を抱くところであるが、実際にそれを身に着けた瞬間に優れたデザインによってコーデが引き締まりながら映えている事に気が付く。実にコーデを纏めやすいアイテムであることを、着てみてから理解出来るというのも面白い。
ヘロンプレストンとリーバイスのコラボ製品は、501の他にもトラッカージャケットなども存在している。公式の商材写真は、これらをセットアップで着こなし、更にはトラッカージャケットをボトムスにタックインするというコーディネートであった。そのような着こなしが実際に街中で可能かどうかは傍に置くとしても、それらのアイテムをアクセントとして取り入れながら、通常のアイテム同士を組み合わせるという方法なら、実に頼もしい花形となってくれる。
そもそも501自体のシルエットは、クラシカルでいながらも時代の潮流に囚われないような普遍的な価値観を持ち合わせている。その時々の流行に左右されるものでもなく、伝統的でありながらも先進的なアイテムである。とはいえ実際のところは、時代に合わせて漸進的に変化を遂げてきたリーバイスのアイコンでもあるのであるが。上記では、ラコステの名品でもあるポロシャツのL1212と合わせて着用。ボックスシルエットとの相性も抜群に良いようである。時に音楽シーンとも関係の深い、フレッドペリーのM12など、細身のポロシャツと合わせてみても面白かったりするところ。
Heron Preston Levi’s501コラボの着こなし、コーディネート例。
- トップス
- ボトムス
- ソックス
- スニーカー
- ウォッチ
- ベルト
シンプルなアイテムと合わせてもよく似合うヘロンプレストンの501。一見するところ奇抜なデザインであるから買うこと、履くことを躊躇ってしまう場合もあることだろう。しかし、これを着てみて分かったことは、切り替えのようなストーンウォッシュなどが絶妙に計算された塩梅で配置されている。華のあるコーディネートをすぐに完成させることができるというのも嬉しい。上記はデニムonデニムで構成したものであるが、互いの魅力を十二分に引き出してくれているように感じられ、おしゃれ感が際立つ。グレーのスニーカーとの相性も抜群に良い。
ヘロンプレストンのリーバイス501コラボ、サイズ感。
ヘロンプレストンとリーバイスコラボの501であっても、通常の501とサイズ感に特に違いは無いようである。身長約170cm、体重60kg弱ほどの平均体型であれば、W28〜30、L32程度で良いようである。W28はピッタリ、W29は少しだけ隙間、W30ではややゆったりといった印象であろうか。上記はW30であるが、シルエット的にはゆとりがあれど、ルーズ過ぎたりせずに良い塩梅であるように見える。この辺は各々の好みによって意見が分かれる部分であるように思えるところである。