M42マウントの定番、PENTAX Super Takumar 50mm F1.4。アトムなオールドレンズで遊ぶ。

M42/オールドレンズ

オールドレンズで遊ばんという時、特にM42マウントであるPENTAXペンタックス社のスーパータクマー50mm/f1.4は著明なる製品である。アトム原子レンズという俗称もある通り、酸化トリウムという放射性物質を用いてレンズの光学性能を高めているというポイントがある。その為優れた描写力を備えているという事は説明するまでもないところである。その放射線量に関しては、特段に健康被害として問題にならない程度であるというが、性能と引き換えにした黒魔術的な要素を感じるところである。

この酸化トリウムは、血管造影剤として医療にも用いられた時代があったり、1970年代辺りでは当レンズのように光学性能を引き上げる為にコーティング剤として塗布された製品が製造販売されていた時代がある。前者においては、後年に内部被ばくによって悪性腫瘍に繋がった可能性があるとされている。近年にあっては、こうして一般的な医療品や工業製品に用いられるような例は無くなっているが、このような歴史的事実も記憶されるべきところであるように思える。

旭光学スーパータクマー50mm/f1.4の黒魔術な写り。

描写が鋭く、ゴーストで遊べるレンズ。

このレンズはフードなどを装着して遊ぶというのも良いが、それを装着せずに特色あるゴーストの出やすさを利用して遊ぶというのも面白い。近年のコーティング技術にあっては、ゴーストやフレアが多く低減している優れた製品も多い。しかしこのスーパータクマー50mm/f1.4ならば、より開放値に近い絞りで、強い光源を前にすると容易に虹色のゴーストやフレアが出現してくれる。これらを淘汰すべく、多くの技術革新が行われてきたが、却ってこれを表現として利用するという使い方も好いものである。

F8まで絞り込み、美しい景色を撮影。

それから一段、二段と絞り込むと中々に切れ味鋭い描写力を備えている。中古市場での価格帯を考えると、相当に費用対効果が高い品物である。F8まで絞って撮影すると、中々にシャープな写りを実現する。ちなみに上記の写真はミラーレス一眼カメラであるEOS R5で撮影したものであるが、軽量でお気軽な撮影が心地よい。清々しい秋の風に浸りながら、その気持ちもなんだか爽快なものであった。50mmという画角が、主役を明確にしながらも脇役を適宜配置する事が出来る。肉眼で見たその景色の美しさを切り取る道具として秀逸だ。

MFレンズを、最新のカメラに装着。

しかもミラーレス一眼であれば、例えばピーキングという機能を備えたカメラを用いていると、非常にピント合わせが安楽になる。軽量化という点から鑑みても、非常に相性が良い装備であるといえる。新型のカメラにMFレンズを合わせる事で、オールドレンズならではの表現を手にしながらも、現代的な撮影環境を整える事が出来るという訳である。そうすると、ますます愛着がわいてくるというもの。しかもMFで合焦させるという行為自体が、より被写体と向き合っているような感覚へと没頭させてくれる。

開放値F1.4で、立体感ある表現。

スーパータクマー50mm/f1.4は、日が傾きかけた暗がりの森林においても、その実力を遺憾なく発揮する。ピントの合った部分の輪郭が浮き上がり、立体的な表現が可能。しっとりとした空気感までも映し出してくれるかのような魅力を持ったレンズである。F1.4であるから、このような条件下での撮影はお手の物。ボケ味は柔らかで優しい印象がある。しかも小ぶりな筐体であるから手振れを最小限にして扱うことが出来るというのも利点である。

風景スナップで、大活躍する。

小ぶりで軽量である事から、その運用は極めて繊細な制御が可能になる。風景写真でも写りの良さに期待して持ち歩きたくなるし、手振れも抑える事が出来る。三脚を持ち歩いていたとしても、負担に感じることの無い筐体は扱いやすさに著しく優れ、セッティング時間なども大幅に削減する事が出来るように思える。開放値1.4という明るさに関しても、多くの照度で活用できる他、ボケ味を活かした表現も楽しむことが出来るという点において、文句なしの性能を備えている。

暗がりでの開放値f1.4。

このスーパータクマー50mmと同様のスペックであるオールドレンズ、ニコン社のAI Nikkor 50mm f/1.4Sと比べてみても、開放値の絞りではよりシャープな写りであるように感じるところである。ただしこの場合においては甘い描写が問題という訳では無く、役割や表現の異なりであると考えるといずれも面白みのあるレンズであるという事が出来る。

立体的で、奥行き感のある表現力。

このレンズは、ピントの合った場所や絞った時の描写力は緻密で繊細なシャープさを備えているが、また同時に柔和な表情を備えたボケ味が特徴的。開放のときの表現力は非常に魅惑的な写りをしてくれる。立体的で奥行き感のある表現が得意である他、緻密で在りながら柔らかい。ビンテージレンズの代表格として筆頭に挙げられるだけの存在感がある。

ペンタックス Super Takumar 50mm F1.4の作例

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このコラムの筆者
ZINEえぬたな

"古典は常に新しい"をモットーとして、相続されるべき普遍的な「価値」を次世代へ継承。

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