BIRKENSTOCK社は、ドイツで1774年にヨハネ・アダム・ビルケンシュトック氏によって誕生してから、数世紀を跨ぐ歴史と伝統を担う超老舗靴メーカーである。特に1980年代に進出した日本では、サンダルによって著名なフットウェアブランドとなっている。その卓越した製品群の中でもクロッグ型のBostonは、同社を代表する優れた逸品でもある。
フットベットと称される柔らかで、足馴染みが良く健康的、使えば使うほどにフィット感が増す。コルクを主体とした4層からなるインソールは、まさに同社の代名詞となっている。ビルケンシュトックの製品は、大切な時間、安らぎを与えてくれるコンフォートサンダルとして、その地位を確固たるものとした存在。過去から現在に至るまで、世界中で支持を受けて愛用され続けている。
ビルケンシュトックの定番、ボストンはカッコ良い名作サンダル。
その製品はドイツ本国の工場で、熟練の職人によって生産され、検品。アッパーに用いられるレザーは、化学薬品を用いず天然素材に拘られている。またフットベットに用いられるコルクは、ワインの栓における余剰素材が用いられ、持続可能性を重要視した姿勢を垣間見る事ができる。
素材として用いられるコルクガシの樹皮、コルクの性質としては耐水性や撥水性が備わっており、水に強く腐りにくい。更には抗菌成分スぺリンが含まれている事によって、ダニやカビが発生しにくいという特徴もある。また優れた断熱効果によって、湿度や温度を一定に保つことが出来る。経年劣化しにくい天然素材であって、耐久性は高いものと思われる。よって、その信頼度は高い。
ところでドイツ本国におけるビルケンシュトックの位置づけとしては、どちらかと言えば室内履きとして用いられており、粧し込んだ格好で出掛ける場合に用いるものではないようである。ただし、だからと言ってこのサンダルの存在価値が落ちるということは一切ない。
人間の生活、社会行動にとって重要度の高い足。歩く、立つ、守る。そのような場面で、第二の心臓とも云われる大切な部位にとって、より健康的で快適な環境を提供してくれるならば、ただそれだけで大いなる価値がある。いや寧ろ、その素晴らしい履き心地から、近所へのちょっとした買い物へ、ゴミ捨てへ、散歩へ。多くの場面で、この機能性の高いサンダルで出掛けたくなるものである。
たとえドイツ本国での認知具合がそうしたものだとは言え、1978年に誕生したボストンは名作というに相応しい風采を保っている。ダサいという言葉は、全く持ってそぐわない代物。寧ろその佇まいは上質で、高品位で、おしゃれなのである。ただ履いているだけでカッコ良い、そんなキングオブサンダル。
フットベッドを称す、インソールの圧倒的価値。
ビルケンシュトック社には、世にも名高いサンダルと象徴的なインソールの存在がある。それらの発明に携わったのが、創業者の曾孫で整形外科医であったカール・ビルケンシュトック氏である。元々、フットベッドを考案したのは彼の父のコンラッド・ビルケンシュトック氏で、弾力性のある中敷を開発していた。それを改良したのが、長男であるカールであった。
そのカールの言葉に「デザインはしていない。自然が作り上げた。」というものがあり、人間工学、足を徹底的に研究した結果としての発明であった事が伝えられている。実際にビルケンシュトックは、足の健康について書籍まで出版しており、人の健康をサポートするという医学にも基づいた理論を構築するに至っている。
例えば、足指の自然な動きを十分に発揮させることで、通常の靴では阻害され得る、素足と同様に脛の筋肉と腱を完全に伸ばす事を可能としている。また足底部のマッサージも兼ねる事で、健康を増進。内側に曲がってしまった親指もフットベッドのアーチの効果によって、正常な位置へ。歩行や立位でも安定したバランスを保つことが出来る。衝撃を吸収し、体重を足全体へ分散。
このようにして、素晴らしい履き心地だけに止まらず、さらに健康までも取り戻すというのである。このビルケンシュトックの製品が健康サンダルと言われる所以は、そこにこそある。だがしかし、それほどに考えられた機能的なフットウェアが、見た目まで良いとなれば、望外の僥倖というべきであろう。
最高のルームシューズ(室内履き)を得たり。安寧を今こそ。
ところで日本においては、歴史上特にルームシューズという存在は必要なかったに違いない。当たり前であるが、日本家屋において土間から下足を脱げば、基本的に板間であるよりは畳敷きであるほうが一般的。比較的、そのクッション性によって足裏も守られていたものと思われる。しかし、現在の家屋においては、反対にフローリングが一般的。集合住宅化、下座りより椅子で生活することも多くなっている。
そんな時に機能性の高いルームシューズがあればこそ、炊事や洗濯や掃除といった家事で立ち仕事が多い場面でも、足裏の健康を保ってくれる。家での生活にありがちな事故。刃物を落としたり、角で指をぶつけたり、割れ物があったり、そんな時にも有益だ。更には集合住宅において、隣室などへの振動や騒音対策としても機能する。ちょっとした塵を踏みつけて足に引っ付くことも無く、そのままベッドや布団へ上がる際にも、寝具の清潔を保つことが出来る。
勿論、家屋において素足で過ごす気持ちよさもあるはずだ。しかし、同時にビルケンシュトックのサンダルならば、インソールのコルクが備えたる気持ち良さが格別なのである。サラサラとして素足のままで気持ちの良いサンダルであればこそ、素足のまま生活する心地よさと、ルームシューズを履いて生活する快適さを同時に手にすることができるのである。
長らく使用することで、各々の身体に合わせて変化してくれるサンダル。仕事から帰ってきてからのひと時、はたまた休日をゆったりと過ごす。そんなリラックスを求めるべき時間を、もっと有意義なひと時にしてくれる。心身における健康の為にもビルケンシュトックは、その最善なる選択肢として存在するのである。より安寧なるひと時を、今この手に収める。
ちなみに、ビルケンシュトックが公式にルームシューズとして販売する、アムステルダムというモデルも存在している。フローリングでの使用を想定して設計されている為、安心感もある。ただしこの場合、フェルトが足に馴染むまでの間、ベルトなどで調整することは出来ない仕様となっている。
静かな音で、滑りにくい。硬めのアウトソール。
アフターワークやスポーツ。仕事や運動で疲れた足に優しきサンダル。たとえ皮脂や発汗によって汚れた足にもサラサラとしていて優しい。それに明らかに癒してくれる。そうしてコルク製のフットベッドは、帰ってからの寛ぎの時間までも演出してくれるのである。
比較的アウトソールは硬めではあるが、実際に板張りを歩いていて音が注意せねばならぬ程に煩いという事は、あまり感じないのである。比較的静かに歩くことが出来る為、室内履きとしても十分に活躍する。もしも歩行音が大きいとか、パカつき音があるという場合、サイズ調整がうまくいっていないという事も考えられる。
それよりもルームシューズでありがちなのは、水で濡れたフローリングでは往々にして滑る事があるが、このビルケンシュトックではそれが無い。アウトソールは耐摩擦性に優れ、そのような場面であっても滑りにくいのである。
ビルケンシュトックのサンダルを室内履きとして用いる。その際ルームシューズとしてフローリングで長年使用していて、使い勝手も良かったクロックスとも使用感の違いを比較してみたい。一般的なルームシューズは、比較的耐久性も低い事が多い。しかしこうしたサンダルの耐久性は高く、長い使用にも耐え、信頼できる。
室内履き | ビルケンシュトック | クロックス |
---|---|---|
見た目 | ||
インソール | 硬めで、フィット感が高い。 | 柔らかで、クッション性が高い。 |
履き心地 | サラサラとして、履きやすい。 | ゴム特有の滑りにくさ。 |
乾いた床 | 突っかかりにくい。 | グリップが強く、突っかかりやすい。 |
濡れた床 | 滑りにくい。 | 滑りやすい。 |
洗い | 部分的に丁寧に洗う必要。 | 全体をガシガシと洗える。 |
歩く音 | 静か(あまり変わらない) | 静か(あまり変わらない) |
保護性 | 水に弱い。落下物も比較的安心。 | 防水、足への保護性が極めて高い。 |
日常生活と災害時に対応。安心安全な暮らしを実現。
外でも用いることの出来るアウトソールを備えたボストンのようなクロッグ型のルームシューズを用いる事で、地震雷火事親父、あらゆる災害時にすぐさま外に逃げ出すことが出来る。
地震においては、部屋の中に飛散した危険落下物を物ともせず、火事においては、焼け出されて裸足のまま逃げ出すことも無く。窓からだって逃げ出す事も出来る。そうして常に安全で安心な暮らしの実現を手助けしてくれるものなのである。
ビルケンシュトックのボストン、フェルトの仕様と外観。
ボストンには、レザーやスウェード、フェルトなど様々な派生した種類が豊富に揃っている。そのいずれを見ても素敵な事この上ない。上質で洗練された美しい立たずまいは、魅惑的であってすぐにお気に入りの仲間入りを果たすところである。
インソールにもドイツ製の刻印が施されているが、コンチョ内側のサイドに品質表示タグシールがある。ボストンのフェルトの場合、アッパーに用いられる素材は100%ウールが用いられている。また勿論、ここにも信頼の証「MADE IN GERMANY」の表記が載っている。
ボストンのサイズ感や調整の仕方。
外側サイドには、調整ベルトが配置されており、それぞれに合う適切な大きさに調整する事が可能。その存在価値を大いに高めるには、各人にピッタリと合ったサイズ感で運用することが望ましい。足の挿入時、甲の部分に隙間が出来すぎないように調整すると、より快適な生活が手に入る。
サイズ感の違いとして、ナロータイプとレギュラータイプが存在する。ナロータイプは女性や足幅の狭い人向けのもの、レギュラータイプは幅広の人向けのもの。足形のマークが、塗りつぶされていれば、幅狭。白抜きの場合、幅広という印である。各人の好みにあったサイズを選びたい。
フェルトの生地感。素足で履いても大丈夫。
フェルトのボストンには、上質なウール100%が用いられている。素足での履き心地も良い。保湿性もありつつ、通気性もある。それでいながら吸水するとウール自体が少しだけ熱を帯びる性質を持つ為、素肌のままお布団に入った時のような何とも言えないフットベッドの心地よさを感じるところである。オールシーズン使用しても何ら問題ない。そして美しい見た目は、使う者の喜びへと導いてくれるのである。
ちなみに天然素材であるウール。素足使用で使い始めでチクチク感があったとしても、少しだけ馴染んでくると全くもって感じる事も無くなってくる。帰宅直後、ボストンに足を通した時の気持ち良さは、格別なるもの。
普段の着こなしも、ビルケンコーデに変身。
同時にビルケンシュトックは、そもそもインソールを発祥とするメーカー。勿論普段からお気に入りのアイテムを用いたコーデにも対応できるよう、フットベッドを手持ちのスニーカーなどに挿入する事も可能としている。コルク製で3つのアーチを維持する機能をそのままに、たとえローテクスニーカーであってもコンフォートシューズに早変わり。普段履きの靴が、ビルケンシュトックに。そうして生活すべてに取り入れる事も可能としている。
Boston/ボストン ウールフェルトの主な仕様
製品名 | ボストン ウールフェルト |
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靴の形 | クロッグ(木靴型) |
カラー | アンスラジット(濃灰)、カカオ(濃茶) |
足幅 | レギュラー、ナロー |
サイズ | 22.5cm-31cm |
アッパー | ウールフェルト100% |
中敷 | ベロアレザー |
フットベッド | コルク(天然ゴム配合) |
アウターソール | EVA |
生産国 | ドイツ製 |
レビュー:オリジナルなフィッティング。導かれる健康。
ビルケンシュトック製品において、フットベッドは殆どのシリーズに共通する部分。長く履けば履くほど、そのサンダルは身体に馴染み、世界に一つだけの特別なものへと進化する。そうなれば益々、理想的な歩行を手に入れる事が出来るものである。
人は幼少期のうちに足の土踏まずが形成されるのだという。その土踏まずには3つのアーチによって、より歩行に適した身体が作られていく。足の外側、内側、横アーチと呼ばれるもので、これらによって、歩行時の衝撃が吸収され、地面に力がより伝えられ、バランスを保った安定した歩行に影響があるのだという。そして、このアーチの機能が損なわれれば、足裏や腰や膝などに大いなる負担をきたす可能性があり、運動などの際にも本来備わった力が発揮できない。
こうした足裏の問題を少しずつ改善してくれる役割を担うのが、ビルケンシュトックのフットベッドなのである。履くだけで、健康的になるそんなサンダル。毎日使っているだけでその喜びは、次第に益々大きくなっていくものである。しかも見ているだけで楽しくなるような、そんなおしゃれなサンダルで在ればこそ。
この健康的なフットベッドという仕様。勿論、ビルケンシュトックのボストンならば、ちょっとした外出にも取り入れられる。常に気持ちよい履き心地、そして健康的な姿勢を手に入れられるなら最高である。家の中でも外へ出たとしても、なんら違和感の無いおしゃれなサンダル。コーデとして取り入れるのも良し。
ビルケンシュトックのボストンが特に優れたところ
ビルケンシュトックが優れている点として、フットベッドという足馴染みの極めて良いインソールの存在が上げらえる。使えば使うほど、気持ちの良さが増し、更に健康になっていくのであるから心嬉しい。少しずつ育っていく、フットベッドのベロアレザーを見るにつれて益々愛着が深まるというものである。
コルクの断熱性は優れており、夏だろうが冬だろうが快適さを維持してくれる。夏の暑い時には、さらさらとして気持ちよく、冬の寒い時にはフローリングの冷たさから守ってくれる。毎日使うごとに、その恩恵の深さを感じることの出来るサンダルだ。
特にボストンのフェルトは、履き心地が良く、すぐに生地自体も馴染んでくる。先端部は硬めで保護性もあり、型崩れしにくい。足のつま先を守ってくれるというだけで、障害物を気にせず歩き回ることが出来る。それだけでなく、サイズ感も調整可能。クロッグ型であることで、わずかな塵などがサンダル内に入り込み難く、いつも清々しい履き心地を維持する事が出来るのは嬉しい。
ビルケンシュトックボストンの気になる点。
室内履きであると考えると、多少なりとも重量感を感じる。ただしその場合には、下肢筋力の強化を同時に行えるのだと考えることも出来る。
またフェルト生地を選んだ場合には、少しずつ馴染んでくるにつれてフェルトが柔らかく少しだけ伸びてくるように感じる。その場合には、ベルトで大きさを調整しておきたいところである。少し生地感が柔らかくなれば、フィット感にも緩みが生じ、次第に歩行時のパカつき音が気になる場合もある。