写真をはじめてしばらく経過すると必ず見えてくる死活問題。それが写真データの保存方法。
データ保存のカギはバックアップにあり!
特に生データの取り扱いは細心の注意を要する部分がある。プロの写真家の多くがこの問題を死活問題だと捉えているのは想像に易い話である。何故なら写真そのものが価値であり財産。それらをどのように保管し、運用するかはとても重要な要素。
プロでなくともアマチュア写真家にとっても何年も撮り歩き、朝早くから遠方まで出かけ、それでものにした数々の一瞬が時間と労力、血と涙の結晶であることは言うまでもない。
近年の写真もフィルムからデジタルへと移行する中で、画像の電子ファイルの取り扱いがとても重要な要素となっている。保管や管理のし易さは向上しているとはいえ、そもそも記憶媒体の管理をどうするかという問題に突き当たる訳である。
バックアップは心の保険。
特にHDD(ハードディスクドライブ)に保存する方法が一般的だとはいえ、この装置が故障してしまえば元も子もない。地震、雷、火事、親父、あらゆる災害が地球に存在している以上、また物理的な性質を持っている以上これは致し方ない問題でもある。
ではどうするか。それはHDDそのものをバックアップすること!
当然の帰結でもあるのだけれど、これはとても重要な要素となる。特に貴重な写真群のバックアップが取られていない事を考えるだけでも肝を冷やす。それほどシビアな問題でありながらあまり触れられてこない問題でもあるのだ。この話は、写真だけではなくビデオ(動画)やライター(文筆家)に至るまで電子データを取り扱う人々に共通して言える事だったりする。
写真データ、保存の選択肢は多岐にわたる。
そもそも論としては保存方法には多様性が必要であって、本当にあらゆる条件に対応しようとするならばあらゆる保存方法を取らなければならなくなる。つまりそれが、将来の安全性や安定性を高める事になる。
経済や社会でも”危機への備えは多様性の確保”が必要なのだけれど、それには経済効率性から少し一歩離れた視点も必要なのかもしれない。だってこんなことにお金をかけるくらいならレンズやカメラに投資したほうが良いと考えるのも頷けるからだ。
ならば少しでも理解しやすく簡単な方法でありたい。一番手っ取り早く大容量のデータを守る。その方法で簡単なのはHDD自体をバックアップするという事になる。数年前と比べればHDDの値段も落ち着いて、手ごろになっているのもポイント。
内蔵HDDでの管理がオススメ!
私の場合、外付けHDDを持って写真データは管理していた。しかしまたもや問題になってくるのは、兎に角場所をとって仕方がないのだ。いくつもの外付けHDDを買っているととても大変な事になる。そこで裸のHDD(内蔵HDD)を購入し続けるという方策を採ることにした。せめて同じ規格のHDDを本のように並べ、保管する方が省スペース化につながるのではないかとの考えだ。
HDDを二台ずつ購入してバックアップをとりながら管理する方式を採用する写真家は、結構多い。もちろんRaidやNASも運用している人も多い訳であるが。
NASに将来転用もできる、内蔵HDDの保管には無駄が少ないものと思われる。NASについての説明については割愛する。
クラウドのみに頼って恐怖した話。
それ以外の方法としては、ネット上のクラウドにデータを分散すると多様性は確保できる。しかしこれにすべてを頼ろうとするのもデメリットがある。
それだったら巷で流行ってるクラウドじゃだめなのかなぁ?
そうなんだけど、有料の写真管理アプリにいれてた写真。
全部消えたことあったから、あれ以来恐怖なんだよね。
今まで使用した外付けHDD。これからもよろしく。
これまで使用してきているHDDは、
- 【バッファロー(BUFFALO)2TB HD-LBF2.0TU2】を5年程度。
- 【バッファロー(BUFFALO)4TB HD-LC4.0U3/N】を1年程度。
しかも現役稼働中なのであるけれども、私の使用環境下では未だ不具合が見られた事は無い。とても安定した製品で信頼している。だからこそこれからも毎日、ガシガシと使用していこうと考えているのだ。
HDDという記憶媒体のメリットとデメリット。
メリットとして、HDDは書き換え可能な回数がSSDなどに比べると大幅に多く、そうした観点から寿命も相当数長い。つまり長期保存に向いていると言われる。しかも容量に対するコスパが良い!
HDDの宿命として衝撃に弱かったり、熱に弱かったり、また毎日の使用による機械としての経年劣化は避けられない。そもそもHDD本体が使用によって熱を発する性質を持っているというのはデメリットと言える。
私の場合は、データの長期保存を目的として、毎日使用するHDD以外に保管用のHDDでバックアップしていこうと考えたのだった。少なくともそのほうが安心感はすごい。ほとんどつかわないHDDの寿命については温度や湿度管理がしっかりとなされている限り、時々動かしてあげるだけで殆ど寿命を考える必要すらなくなるようだ。
フィルムを保管しているイメージと一緒だね!
現在、現像フィルムはボックスに入れて保管しているので、全く同じようなイメージで捉えられる。
内蔵HDDがカセット化。なんと便利なHDDスタンド。
巷にはとても便利な製品があふれている。
私の思考するバックアップ法にとても相性がいい製品。それがHDDスタンドだ。様々な会社から似た製品が出ているのだけれど値段も機能もほとんど違いがないように見える。
この製品の素晴らしいところ、それが
- カセットのように内蔵HDDを抜き差しするだけの簡単なお仕事でデータを管理が出来るという点。
- しかもHDDの熱が籠らないという点。
上記にあるように思う。この系統の製品はとても画期的なアイデアだ。
新しいHDDは初期化によって使用可能。
新しいHDDは記録媒体として未だ未完成。エクスプローラ上にも認識されていない。もしもこの時点でアイコンが表示されていなくても安心して欲しい。
データ保存させるには初期化しなければならない。HDDの場合もSSDの場合も同じ操作を行う。初期化の行い方は下記に掲載している。
見ているだけで面白い。
まるで任天堂スイッチじゃん。
購入したHDDスタンドは、【FIDECO USB3.0 コピー機能付きHDD・SSDスタンド】という商品。
そこに内蔵型HDDの【WESTERNDIGITAL 6TB WD Blue WD60EZRZ-RT】を差し込むことにした。
ちなみにWD Blueの最大容量のものは6TB。このモデルで一番大きいものを使っている。
ヘリウムガスが充填されたモデルのWD Redで運用することも考えたのだけれど、差し当たってそのモデルで想定される24時間駆動などで運用する予定もなく、時々出しては使う程度の保管バックアップ用。このモデルで十分であると判断したのだった。
使ってみて、やっぱり最高だった件について。
実際の使用感は抜群にいいし、その省スペース感に少し驚いた。しかも卓上設置でも美しい機能美が目に入ってくるとまたこれはこれで良い。
バックアップを取り終えたHDDはケースを装着して保管する。
ケースは【オリコ(ORICO)収納ケース PS35-5】を購入した。このケース非常に考えられたケースで、上下にメモ欄があるほか、重ねた際にはピタリとお互いにハマり込む仕組みになっている。並べていると非常に美しい。
本来ならば防湿庫などで保管すれば一番いい。
私の場合は場所が余っていないこともあって、クッションがついているカメラ用のアルミトランクケースに収納していく事にした。
バックアップの安心感が凄い。
写真を撮っているとお気に入りの写真群が必ずあって、しかも家族写真なども含めてもう二度と撮ることが出来ない。津波や洪水、地震など災害は必ず起きていて、雷が落ちれば、PCそのものが破壊される事も可能性はある。そうやって考えているともしもの時に備える事は、やはり大切な事だと思う。それが失われた時の喪失感や焦燥感を考えると気が気ではいられないのである。
しかもある程度そのデータ容量が大きくなればなるほど、喜びが増していくのと同時に、段々段々と心の奥底の不安も大きくなっていく。それが私の状況であったのだから、大切なデータを持つ多くの人がきっとそのような潜在意識を共有しているに違いないのだ。
しかしバックアップを取り終えた今、安堵感に包まれている。つまり嬉々とした感情しか残っていないのである。そうであればバックアップをしない手はない。内蔵HDDのみではなくて、内蔵SSDも同時に運用してリスクの軽減を更に図ろうというものである。
内蔵SSD同時運用で更なるリスク回避。
写真を趣味としていると、当然そのデータの管理には気を使う。血と汗の結晶がほんの些細な事でパーになったらどうだろうか。きっと髪の毛をかきむしり、ブルーな日々を暫くは過ごすに違いないのである。
そこで前回、内蔵HDDにデータを溜めていき、保管分と運用分という具合に2つのHDDに同じデータを記録。バックアップを取る方法を記したのであるが、今回は1TBのSSDを追加購入し、写真を撮ったらHDDとSSDにそれぞれ同じデータを保存。SSDが十分に溜まったら、保管用HDDへ逐次データを移動するHDDとSSDの長所短所の相互補完で運用してみる事にした。
HDDとSSDの相互の長短について
HDDは一般的に長期保存に向いているとされている。しかし衝撃や熱に弱い。
● HDDの長所と短所のまとめ
- 書き込み可能回数が多い。
- データ消失までの期間が長い。
- コスパ良く、大容量を記憶できる。
- 熱や衝撃に弱い。
- 読み込み、書き出しに時間が掛かる。
- 本体自体が発熱する。
使用しているのは、Western Digital(ウエスタンデジタル)社製のWD Blue WD60EZRZ-RT 6TB。
SSDは読み込み、書き込みが速く、衝撃に強いが、長期保存に向いていないとされている。
● SSDの長所と短所のまとめ
- 読み込み書き出しがとても速い。
- 発熱が少なく、静音。
- 衝撃など物理的な故障に強い。
- 静電気など電気トラブルに弱い。
- 長期間の放置でデータ消失の可能性。
- 容量に対するコストが高い。
使用しているのは、Crucial(クルーシャル)社製のCT1000MX500SSD1/JP 1TB。
上記のように、互いの長所が互いの短所を補完し合う関係性でもある。同時に運用する事で、データ消失のリスクを低減できるはずだ。
感激の使用感。想像以上に作業効率が図れた!
デスク上にHDD/SSDスタンドでカセット化している。使用しているのは、FIDECO(フィデコ)社製のUSB 3.0接続2.5/3.5 HDDスタンド。
実際に使用していると静音感が素晴らしいばかりかSSDのデータ取り出しの速さが快適すぎる。これまではHDDであった事もあって、写真をプレビューしていく際にも読み込みに時間が掛かっていた。結構一眼レフで撮影した写真を次々に確認していくと、それだけに時間が掛かかる。それが今では物凄く効率化がはかれた。
メモリー増設のときにも大幅な効率化がはかれたけれど、今回も同様に作業効率が向上した。こうしたちょっと事の積み重ねが結構重要であったりする。それを大いに実感した訳であった。
SSDの初期設定。初期化(フォーマット)なしには使えない。
1. まずはSSDがきちんと認識されているかを確認する。
①windowsアイコン右クリック
②デバイスマネージャーを開く
③新しいSSDをチェック
2. SSDをフォーマット(初期化)して使用可能にする。
不確実性の危機に対処できるのは多様性のみ。
データを確実に保存する方法はないが、可能な限りどんな状況が起こっても写真が手元に残るようなシステムを構築したい。その為には、多様な形で写真を残すという事が必要になる。
デジタルだけでなく、フィルムでも撮影したり、HDDだけでなく、SSDでも保存したり、HDDは2つ以上複製保存したり、プリントをしたりと様々な方法で写真は管理することが出来る。最終的には一カ所に保存するのではなく、二カ所以上の場所に保存するほうが良い。そのようにすることで、知的財産を保護することに繋がるのだ。
写真だけとは言わず、文章や絵なども同様。思い出などは何者にも変えられない価値を持っている。そうしたことが一瞬に何気無い事がきっかけで消失する事だってあるのだ。
バックアップを取るようになってからというもの、心の奥底で積み重なった心配事は一切気にならなくなった。お金を銀行に預けたり、金庫にしまうのと同様に、大切な財産をきちんとした形で管理するのはとても大切な事だと思える。