春や秋に羽織りたくなるGジャン。実は夏や冬にも重宝するアイテムで年がら年中、活躍が期待できたりする。例えば、冬にはシャツの代わりにインナーとして用い、また夏には空調の効いた室内や日焼け防止のため、ちょっとした羽織り、ひざ掛けの代わりとして何かと便利に用いる事が出来る。合わせ方が難しい、または季節選びが難しいなどという問題もポイントを抑える事で、ワードローブの中でもただただお洒落着として輝くことが出来る。
さてGジャンといえば、現在の主流派デザインはリーバイスでいう所、後に触れる3rdの流れをくむ4thである。これはメーカーを問わずして代表的な形であるから、デニムジャケットの定番、王道として人々から一般的に認知され、Gジャンと言われた際に真っ先に思い浮かべるもの。
ちなみに、よりクラシカルでワークウェアとしての価値を備えていた1stや2ndとは異なり、よりコンテンポラリーなファッション性に依拠したデザインが採られたのが3rdや4thという事になる。
リーバイスのトラッカージャケット、タイプ別特徴。
リーバイスのGジャン、またの名をトラッカージャケットには大別して4つの型がある。その形も時代を経るごとに少しずつ変化を遂げていくが、それぞれが魅力あるデザインとして語り継がれている。同社自身もユーザーの要望や需要に応え、歴史に埋もれつつあった過去の名品Gジャンたちを復刻させたりもしている。このようなデザインの違いは、現行販売されている製品名にも「TYPE II」などと表記されて区別されている。
1st/506XX. Gジャンの元祖であり、原点。
2nd/507XX. ワークウェアとして君臨したGジャン。
3rd/557XX. ファッションへの転換期Gジャン。
4th/70505. Gジャンの決定版、完成形。
Gジャンのモデルで主要な型番はいくつか存在している。その歴史的な順番としては、所謂1stモデルことTYPEⅠは「506XX」、2ndモデルことTYPEⅡは「507XX」、3rdモデルことTYPEⅢは「557XX」、リーバイス公式にはTYPEⅢに含まれている4thモデルは「70505」、その後も「70506」…等と形も少しずつ変化を遂げていく。そのいずれであってもデザインの完成度は高く魅力的、長く愛用する事の叶う逸品達である。
ときに5thとも称される事があるリーバイス70506は、4thに加えてハンドウォーマーポケットが配置されており、着丈も長くなっている。歴史の比較的長いジーンズやデニムジャケットは、その時代の世相を反映させながら形状を変化させており、そうした観点からもファッションを楽しむことが出来る。
春や秋の定番アイテムでもあるGジャンであるけれど、インナーを着込むことで真冬でも暖かに過ごすことが出来る。風を防いでくれるというだけでも、肌寒い季節には外出先で重宝するところ。中に着込んだパタゴニアのレトロXベストとの相性も抜群に良い。実用的なコーデ。
何にでも合うデニム素材であるから、様々なパンツとの相性も良い。勿論、チノパンにも。上記ではリーバイスのスタンダードチノを選んだ。動き易いカジュアルさもありながら、ドレスアップする事が出来る。細身のパンツも勿論いいが、セカンドタイプにはクラシカルなボックスやストレートなシルエットは好感触。
ファーストモデル/TYPEⅠ/506XXとは。
リーバイスのファーストモデル506XXは、ワークスタイルに丁度良く動き易いプリーツ、サイズ調整にシンチバックが採用されている。ボックスシルエットでクラシカルなモデル。フロント部には1ポケット。稼働に配慮して身丈が短いのであるが、2nd以降の型番と比べても最短。労働に最適であろう特徴的なシルエット、実に無骨感が漂っていてカッコイイ。
形としては、シンプルながら既に完成された元祖Gジャン。無骨でありながらもエレガントな佇まいでもある。肩を落としたビッグシルエットな着こなしとも相性が良く、華奢な女性であっても非常によく似合う。勿論、無骨で伝統的なアメカジスタイルにはテッパンアイテム。更に着心地も抜群に良し。
セカンドモデル/TYPEⅡ/507XXとは。
セカンドモデルの507XXは、ファーストと同じくプリーツ入りのボックスシルエット。ワークスタイルが洗練されてフロント部が2ポケット、サイズ調整には両サイドのバックボタンが採用。袖丈が長く設定されている。このプリーツデザインがこれまた秀逸。第一ボタンまで閉めて着こなすという方法も好ましく、カチッと着ても良し、はたまた少し崩して着ても良し。様々なスタイリングを許容する完成度の高さ。
クラシカルなワークスタイルの動き易さはそのままにお洒落さを兼ね備えたモデル。また背中には2タックが配置されている為、ゆったりとした着心地。肩回りの窮屈さは全くなく、生地の厚みを気にすることなくシャツのように羽織っていられる実用美が好ましい。何に着合わせても様になる。そうして何時だって、コーデの核になるアイテムであることは間違いない。
サードモデル/TYPEⅢ/557XXとは。
サードの557XXとなると、ワークスタイルからファッションへと変化を遂げたモデル。肉体労働のシンボルであったGジャンが、タウンユースへと変貌。その形もよりスリムシルエットとなり、フロントにVシームが採用、伝統のホームベース型のポケットの形も同様に変化している。現代的なデニムジャケットの基本形とも言える3rd。
胸ポケットの形も変化し、ホームベース型のシルエットがスリムになった。またそのフラップ部分も三角へと変化している。伝統的な活動的なシルエットと未来的で都市的なファッション性も取り入れた進歩的なデザインが魅力的。リーバイスのみならず、デニムジャケットを作る多くのメーカーがこの3rdのデザインを取り入れて普及している。誰しもGジャンといえば、すぐにこの形を思い起こしてしまうような定番中の定番。
フォースモデル/TYPEⅢ/70505とは。
フォースと呼ばれている70505は、サードモデルをより完成させたファッション的デザイン。着ている印象やシルエットとしては、大きく変わらない為マイナーチェンジとも言える。フロント部に備わったVシームの角度がより加わり、Vライン先端に広がりのある変化。その変化は若干であれど、より現代的でファッション性が極まったデニムジャケット。
またポケットが小さくなり実用性よりも装飾感が強まった。これにより見た目のスリム感が向上。バックボタンの間隔が狭まり洗練された印象。優れて洗練されたカッコ良い佇まいが約束されたデザイン。サードの系譜を引き継ぎつつ、より現代的で完成された雰囲気を保っている。美しくスタイリッシュで、着こなしに花を添えてくれるような存在。
TYPEⅢ/70506とは。
70506では4thの段階で装飾的となったフロントポケットが、ハンドウォーマーが加わったことで、4ポケットとなり都会的な利便性に配慮されている。ポケットやそのステッチの縦ラインにより更に見た目にも変化。前の型番である4thの70505と比べても着丈や袖丈は一回り程長く設定されており、最も都市ファッションの要素を取り入れたデザインであると言える。時に5thと呼ばれることもある。
これは1stの506XXと比べると、着丈のみ二回り程長くなっている。またポケットのサイズも3rdこと557XXと同等のサイズ感に戻り、収納容量が拡大している。腰回りまでカバーするような防寒着的でいて、アウターとしての要素を増している。丈感の短かったアクティブなスタイルから少し離れ、バイクなどに乗る際など、風除けとして着込むに最適な佇まいとなった。
デニムジャケット/Gジャン、サイズ感とサイズ表記。
上記で着用しているリーバイスのトラッカージャケットは全て、サイズ36である。身長約170cmで体重60kg弱の中肉中背体形であれば、サイズ36でピッタリかやや小さめ。サイズ38では余裕があり動き易い、厚手の物を中に着込んでもゆったりとした着心地であるように思われる。製造や製品、洗い、使用感によっても個体差は若干あるものの、同様の体形ですっきりと着こなしたいならば36くらいが丁度よいように思われる。ただしオリジナルのヴィンテージなモデルは、現行品よりもワンサイズ小さめであることに留意したい。
ただしやはり表示サイズが同じであったとしても、クラシカルなファーストやセカンドの方が身幅や肩の周りに余裕が感じられる。シャツのように羽織りながら、窮屈さを感じ得ない。サードやフォース以下の比較的新しいモデルであれば、作業的な動きやすさというよりも都市的なスマートな佇まいの方が意識されているというのも選ぶ際には一つポイントとなる。
日本サイズ | XS | S | M | L | XL |
表記サイズ | 34 | 36 | 38 | 40 | 42 |
リーバイスのデニムジャケットにおける表記サイズについては、上記のサイズ表に照らして選択すると良い。モデルによってシルエットの違い、また製品別の肩幅や身幅と丈感の違いもあるも、概ね適応している。
Gジャンはダサい、着こなしが難しいという誤解。
デニム素材は、基本的に合わせるのが簡単なはずである。それがデニムパンツであれば、尚更カジュアルの定番スタイルとして定着している。それにデニムシャツなんかも比較的手を出しやすいとされている部類ではないだろうか。それでもデニムジャケットとなると、億劫になってしまうという話も巷に溢れているようだ。その特徴でもある短い着丈、これをどう活かすかというのは一つポイントとなる。
アウターと共に、インナーもパンツの外に出すというスタイルは一般的な手法。しかしデニムジャケットの着こなしでは、まずインナーをタックインするところから始めると比較的容易にコーデが締まる。この方法は当たり前ではあれど、シャツやその他ジャケットなどのアウターを羽織る着こなしでは重宝する。まずはキレイ目なカジュアル、クラシックなスタイルを志向してみたいところ。
敢えてGジャンをインナーにするという方法も好い。シャツのように羽織る際には、丈の短さが特徴でもあるデニムジャケットを活かすことが出来る。春や秋だけとは言わず、この場合冬の着こなしとしてもオススメな暖かな着こなし。
デニムジャケットに似合う、オススメインナー。
Gジャンの装いで特に春夏に重宝するのは、ポロシャツとTシャツである。インナーとして快適な質感でありながらも、いざアウターを脱いだとしてもインナー然とし過ぎていない。インナーとアウターの両方をこなすことが出来るアイテムがあれば、ベストな選択肢と成り得るところである。デニムジャケット自体が比較的硬派なアイテムであるから、クラシカルなボックスシルエットとは非常に相性が良い。
Tシャツを合わせる、ビーフィーT。T1011。
HanesのBEEFY-Tは、6.1オンスの柔らかく肌触りの良い生地で光沢感がある。またクルーネックTシャツとして、丸胴仕様のボックスシエルエットで首元が締まっており大人な雰囲気も醸し出す。だからこそジャケットやシャツなどとの組み合わせでは最良の選択肢となる。外に何か羽織った時に、Tシャツの首元がだらしなくヨレる心配が無い。また無地でロゴも無い点は、インナーとして好印象。個人的にはベストな選択肢である。
しかも勿論、ヘビーウェイトTシャツとして著名な製品である。たとえ白T一枚で着ていても、乳首が透けることも無く上品さを保つのである。それにGジャンなどを脱いだとき、アウターとしても完成されるスタイルは魅力的。更に厚すぎず、薄すぎずという生地感も心地よい。その6.1オンスという厚みはインナーとしても絶妙であるし、アウターとしても遜色のない質感がある。その為、着ぶくれする事もないし、汗ばむ季節であっても快適に過ごすことが出来るのである。
ちなみにヘインズのビーフィーの選択肢には、袖のリブ付きであるというのが嬉しいポイントの長袖も用意されている。半袖では寒い場合に長袖も好いのであるが、この場合にはデニムジャケットの袖を捲り上げた時にでも便利。しかも半袖同様、首は勿論詰まっていて、大人びた上品な着こなしが期待できる。
次にチャンピオンのT1011という選択肢も挙げたい。こちらは、ヘビーウェイトTシャツとしての名声をほしいままにする米国製に拘られた逸品である。7ozの生地感は、更に肉厚で透け感が全くない。ドライな肌触りやUSコットンならではの上質な生地感は、たとえ一枚で着ていてもスタイリングが完成する圧巻のアイテム。
上記に挙げたビーフィーTもT1011もタフに使用して洗いを繰り返しても型崩れを生じさせないバインダーネックなどが搭載された仕様が嬉しい。ただしT1011の場合は、多少首元が緩やかに空いているという違いがある。その為、デニムジャケットを羽織った際に首元が乱れる事もあったりする。
ポロシャツを合わせる、L1212。M12。
ラコステのL1212は、ポロシャツの原点としても著名な製品。勿論ながら伝統的なボックスシルエットで、首元のボタンは開けていても閉めていても成立する格好の良さがある。上質な生地感や貝殻ボタン特有の煌めきが上品さを際立たせ、Gジャンのインナーとして着ていても好ましいアクセントになる。そして、もしもアウターを羽織っていなかったとしても成立するアイテムであることは間違いない。
ラコステと同じくポロシャツでは名声高いフレッドペリー。特にM12は同社を代表するような製品で、襟と袖に備えられた二本線のカラーラインが特徴的。創業者がテニス界でのレジェンドである事もあって、胸に輝くウィンブルドンの月桂冠の紋章が誉れ高い。ドレッシーでありながらカジュアルさも保っており、様々な着こなしで活躍する。TシャツとYシャツの中間的役割。デニムジャケットとの相性よろしく、カジュアルダウンさせるときの相棒としても重宝できるアイテムである。
意外に最高。GTホーキンスのサーフシャツ。
グンゼのGTホーキンスブランド、サーフシャツは意外にも大活躍する組み合わせ。首元の詰まったアイテムであって、袖なしであるという点で、デニムシャツとの相性は抜群に良い。シャツのようにGジャンを着込むとするならば、そのインナーとしてのスリーブレスなTシャツの使い勝手たるや抜群。肌寒く、日差しは熱い。そんな風に難しい季節柄には特に嬉しい組み合わせである。肩ひじ張らずに気楽に着こなすスタイルの完成。
秋冬には、チャンピオンスウェット。
秋冬の寒い季節には、王道の組み合わせとしてスウェットというインナースタイルも一興。暖かなチャンピオンの赤タグ、12.5ozという肉厚の米国製スウェットシャツを着こむ。あるいは、ゴワツキを感じる必要もない同じく米国製の9ozのスウェットシャツというのも一興。着ても脱いでも完成されたスタイリングが実現するというのも嬉しいところ。着用サイズは、インナーのチャンピオン赤タグがMサイズで、アウターのトラッカージャケットが36である。
ブログ:デニムオンデニム、コーディネート集。
デニムオンデニムは、敷居が高いようでいて最も無難な選択肢。上下共にセットアップではあれど、カラーデニムやリンスからアイスウォッシュまで様々な色使いが可能である。上下が同じような色合いで無くとも、千差万別の面白みがあって成立するスタイル。経年変化を楽しみながら様々なスタイリング、組み合わせで一年中楽しみたい。
この小鹿田焼の里への旅路においては、デニムジャケットのファーストとカラーデニムの501で散策。動き易く、季節の変わり目でも調整が容易。ただ気持ちよく休日の散歩を楽しむことが出来る。お洒落なアイテムであれど、肩ひじ張らないワークカジュアル感が嬉しい。