オリンパスXA、コンパクトフィルムカメラの金字塔。驚異の35mmレンジファインダー機種。

Olympus XA

優れた単焦点コンパクトフィルムカメラの中で、オリンパスXAの名は轟いている。秀逸なコンパクトさと軽さを備えながら、初代は唯一レンジファインダー仕様でピント処理を楽しむことも出来る。XAシリーズの中でも一番売れたとされる後続のXA2も殆どその形状は変わらないが、ベストセラーとなってカメラで初めてグッドデザイン大賞を受賞してもいる。そんな名機としても名高い35mmフィルムのコンパクトカメラであるが、そのレンズも初代XAにはF-Zuiko 35mm F2.8と比較的性能の良いレンズが用いられている。本格的なカメラとしての性能さえも携えて、しかも気軽に行動できるという驚異的な強者カメラなのである。

1979年3月に発売された初代XA、バブル好景気に沸いた日本においてのこの時期には、数多くの名品カメラが誕生している。このカメラもまた産業遺産的な価値を持つ、秀逸なるカメラであることは間違いない。しかもA11というフラッシュを装着してもコンパクトであるところも嬉しい。デザインとしては兎にも角にも美しく可愛げがあって、愛着が否応が無しに湧いてくるところである。この形状デザインはシリーズすべてに、殆どすべてが共通しているといっても良い。

カプセルカメラ初代XA、グッドデザイン秀逸な写りと完成度。

XAの優れた描写。

XAシリーズは、当機種でもある初代XAをはじめとして、XA2、XA1、XA3、XA4と5種類が登場した。最後期のXA4が1985年4月に発売されたことを考えれば、中々にアップデートが早急に進行したことが伺える。より手軽に使用できる3点ゾーンフォーカスのパンフォーカスに変化シフトしたことを考えれば、シリーズの中でも初代のレンジファインダーまで搭載されたギミックはより魅力的で差別化された存在に映るところである。

美しく洗練されたプラボディ、XA

プラボディであるけれど、その優れた意匠も相まって使い勝手の良さは抜群。当然ながらポケットに忍ばせておいてから写真を楽しむという最高の使い勝手が可能となる。勿論の事、そこから出てくる絵は35mmフィルムなのだから申し分ないという代物。レトロクラシカルでありながらも、ハイテクな感じさえも受ける絶妙な立ち位置。ファインダーを覗いてフォーカスするという一連の作業が、没入感を極め、そして写真を撮るという行為自体に最高の高揚感を持たせてくれる。

いつでも、その出会いを切り取れる名機。

そしてただそこに存在するだけで、良いものを持っているという感覚を否応が無しに感じさせてくれる機械である。この時期に発売されていたものとして、他社の多くに高級コンパクトフィルムカメラという部類も存在するが、奢侈しゃし的な実用性を持ち合わせたこれらの製品とは異なるものの、決して見劣りすることの無い逸品である。精密機器でありながらも、玩具のようなちゃっちな感じもあって、それがまた心地よいのである。

手のひらに、スッキリと収まるXA

ただ描写性は優れており、決して甘すぎる事の無い緻密な描き分けは頼もしい。カメラのキタムラにおいて現像とCD化を行い、それをそのまま掲載しているが、その好ましい表現力には脱帽するところである。何気ない日常を撮る道具としては、十二分の活躍を見せてくれることは間違いない。それに手巻き式でフィルムを一枚一枚送っていくという操作も、写ルンですを想起させてくれる。だがピント合わせなどは実に本格的であるから、写真を撮るという行為に対して、偉大なほどの面白さが担保されている。

レンジファインダー搭載、希少なコンパクトフィルムカメラ。

何気ない日常に、ときめきを見出す。

コンパクトフィルムカメラにおいては、絞り優先AEというのは比較的扱いやすく、一般的なモードである。しかしながらファインダーをしっかり覗きながらマニュアルでフォーカスを合わせる事が出来るというレンジファインダーは中々に珍しい機構。そうした意味においても、他のコンパクトフィルムカメラと並べて鑑みても、差別化された存在のように感じられるところ。勿論、レンジファインダーが採用されたコンパクトフィルムカメラという選択肢が、唯一無二のものという訳ではないのであるが。

精細な描写力も備えた、XAレンズ。

ただ公式にはカプセルカメラを標榜しているだけあって、観音開きのレンズカバーをずらして出てくるレンズがギミック的にも興味深い。フィルム感度ISOASAを設定して絞りを変更させ、レンジファインダーでピントを合わせる。絞り優先オートでシャッター速度が決定される。お手軽なカメラで在りながらも、本格的な撮影、撮影行為自体を楽しむ事が出来るという贅沢な仕様となっている。写真好き、カメラ好きにはたまらない製品プロダクトであることは間違いない。そういう意味においては、無類の存在感がある。

手に馴染む、コンパクトさが嬉しい。

それらはギミックとしても素晴らしく、レンズキャップの役割をこなすカバーは全開にしなければシャッターを切ることが出来ない。これによってレンズカバーが映り込むというような、ちょっとした失敗が起こりにくい工夫がなされている。しかもレンズが出ているときには、フィルムを取り出す為に行うレバー操作も出来ないよう防止される。こうしたちょっとした気遣いが何とも頼もしい。

レンズカバーを開かねば、シャッターは切れない。

このシャッターボタンは、クリック感が少ないのも特徴。シャッターが切れているのか切れていないのか感触ではわかり難いところが玉に瑕。ただし無駄なくスペースを活用するという思想が完成されている。赤くカラーリングされているから、視認性も抜群に良い。

撮影そのものが楽しくなるカメラ、XA

また全自動なフィルムカメラとは異なり、フィルム送りやセッティングなどについては手動で行う必要がある。写ルンですという製品においては、右上の歯車を回すことでフィルム送りを行う訳であるが、まさにこのXAも同じ作業を要する。写ルンですを彷彿とさせるような、この感触の面白さもXAを持ち出して扱う際の面白要素。撮影を楽しいものにしてくれるポジティブな部分であると言える。

手に馴染む感覚が心地よい。XA

オリンパスと言えば、2020年にはカメラ事業から撤退し、その84年の歴史に幕を閉じた。その事業は別会社へと引き継いでいるとはいえ、やはりカメラ産業の変遷と時代の流れを感じざるを得ないところである。そのように考えると、カメラ史にも残るような産業遺産のようにも思えてくる。しかも、現代に用いたとしても、何ら違和感の無い装置。近未来志向な名品であるからこそ、決して時代に取り残される事の無い佇まいと機能性が光輝いて見える。

街の猫を撮る。超軽量225g、ポケットサイズのオリンパスXA。

港町で愛される猫。

オリンパスXAのレンズクオリティは非常に高く、絞り優先AEのプログラムも正確。日中の撮影でもフィルム感度と絞りさえしっかりと決められれば、ビシッと決まった写真が撮影できる。ブレなくボケも無い写真であれば、その描写力は優れている。これだけの性能のフィルムカメラが、ポケットにしまえるというのは、中々に趣味性が高い。ポケットにしまった時にも重量感を感じる事は一切ない。シャッター速度は1/500〜10秒となっており、通常の使用感としては申し分ない。

夕刻の路地裏で、猫。

フジカラー100というネガフィルムを装着してXAと共に街歩き。夕刻の路地裏へ入り込むと猫が佇む。もう既に暗く、一番明るいF2.8の絞り値で撮影。かなり暗くて厳しい諸条件の中での撮影でありながらも小型で軽量であることが功を奏して、比較的ブレを押える事が出来る。もうちょっと脇を締めて撮影するべきであったことを思わせる。

兎に角、持ち歩き易いXA

プラボディであることで、質量225gという圧倒的に軽量なコンパクトフィルムカメラであることが大きく利点であることを思わせる。それよりも写真の質を左右する、MFでしっかりとピントを合わせるという作業の素早さと精確性について、撮影者のスキルによるところが大きいカメラである。ただし上手に撮るとか、奇麗に撮るとか、そうして肩に力を入れた撮影というよりも、ピント合わせの段階から撮影自体を楽しみ、その空間自体を楽しませてくれるようなカメラである。

Olympus XAの作例

Olympus XAの使い方と外観

XA、レンズバリアを閉じた状態。

カプセルカメラらしい可愛らしい外観。非常にコンパクトで軽い。ポケットに入れて持ち歩いたとしても、その重みを感じる事も特にない。出張や旅先で、あるいは単なる外出で、ただ持ち歩くことに関しての障害が全く無いというのは悦びでしかない。

カプセルカメラは手動で。

カプセルカメラのケースは手動でスライドさせる。上部には滑り止めがあり、比較的スライドさせやすい。ただポケットに入れておいたりする場合には、勝手に開いたりすることも無い。スライドさせるときにレンズに触れてしまわないように多少なり気を付けたいところ。

絞りを変更、ピントを合わせる方法。

スライダーで、絞り値を変更する。

絞り値は、F2.8~F22の範囲で変更可能。表現や光に応じて変更したい。カメラの持ち手からすると、右手側に存在するスライダーを上下させる事でF値を操作。ちなみにカメラの露出決定が絞り優先AEであるから、この操作が基本的にオリンパスXAにおいての写真表現や露出決定の全てであるといっても過言ではない。

ピントを合わせる。

レンズ下部のレバーを左右に動かすことで、ピント位置を前後させる。ファインダーを覗きながら、直感的に操作可能なレンジファインダーが採用されている。オリンパスXA以降の後続機には、搭載されていないアイデンティティともいえる肝部分。操作する楽しさが、やはり撮影行そのものを楽しいものにさせてくれる。ちなみに結構無意識的に触れてしまいやすい場所であるから、撮影の際には必ずピント位置を確認したい。

ボタン電池はLR44、2個を装填。セルフタイマーや露出補正も。

ボタン電池LR44が、2個必要。

電源はボタン電池のLR44が2個必要。大体のカメラ仕様と同じく、コインで蓋を開けることができる。勝手に蓋が開いてしまうという心配もなく、手元にあるものでいつでも開けることができる無難な仕様である。底部に設置されたレバーで、CHECKにセットするとブザー音が鳴る為、電力の有無を調べることが出来る。

底部のレバーで。電力チェックやセルフタイマーも。

またセルフタイマーをセットする場合にも用いる事が出来るレバー。電子セルフタイマー仕様で12秒のみセット可能。またこのレバーを用いて露出補正も可能。この場合は、EV+1.5という補正具合となる。すべて底面に英字で刻印されており、直感的な操作と理解が可能。

XAのフィルムの入れ方、交換の方法。

step 01. 巻き戻しクランクを持ち上げ、裏蓋を開ける。

カバーを開ける。

step 02. フィルムを装填し、ベロを少し伸ばす。

フィルムを装填する。

step 03. シャッターレバーの下方スリットに挿入。

スリットに、フィルムのベロ部分を挿入。

step 04. 裏蓋を閉じて、フィルムを巻き上げる。

蓋を閉じて、一回分巻き上げる。

step 05. 空シャッターを、一回だけ切る。

空シャッターを切る。

基本的には簡単なフィルムの装填、または交換の方法である。しかし、フィルムカメラを初めて触るという場合には、少しだけ手間取ることも考えられる。例えばスリットにフィルムのベロを差し込んで一回分の巻き上げを行っていないという場合には、”写したつもりでいて全然撮っていなかった”というようなハプニングにさえ成り兼ねない。そうした失敗を繰り返して、誰もが体感として覚えていくものでもあるのかもしれないけれど。

フィルムのISO(ASA)感度を設定する。

フィルムのISO感度を設定。

フィルムを挿入する際には、ISOをレンズ直下のスライダーを動かして設定する。ASAはISOと国際表記基準に合わせて同義であるとみなすことが出来る。であるからフジカラー100ならば目盛り100で設定し、プレミアム400ならば目盛り400で設定する。フィルム交換時にISO感度の異なるものを挿入したならば、確認が必要となる操作部分である。

撮影ごとのフィルム送りの方法

フィルム送りも歯車を回す。

撮影後のフィルム送りもフルオートで行ってくれるカメラもあるが、XAは手動で行う必要がある。ただし、この行為が写ルンですを想起させてくれる。左から右へギリギリと回しながら、装置が止まるまでフィルムを巻く。巻き上げが止まったら、次のコマの撮影の準備が完了する。

フィルムの取り出し方。撮影し終わったら。

step 01. カメラ底面の巻き戻しボタンを押し込む。

カメラ底面、巻き戻しボタンを押す。

step 02. 巻き戻しクランクを時計回りに回す。

巻き戻しクランクを回す。

step 03. 巻き戻しクランクを持ち上げ、フィルムを取り出す。

巻き戻しクランクを持ち上げ、フィルム回収。

巻き戻しボタンを押した後、クランクを持ち上げて裏蓋を開いてしまう前に必ずフィルムを完全に巻き戻す必要がある。この工程を間違えると、フィルムに余分な感光をさせてしまう余地を与えてしまう為、注意が必要である。すぐに閉じれば基本的に全く撮影が無駄になるという事も殆どないけれど。巻き上げクランクは、時計回りに何周もさせる必要があり、完全に巻き上げると感触があり、負荷が軽減するため分かる。

レビュー:初代XA、レンジファインダーが贅沢で最高に楽しい。

初代XAはレンジファインダーの面白さを思う存分に堪能できる。名刺サイズで超軽量のプラボディでありながら、レンジファインダーを搭載した絞り優先AE機種。高級コンパクトカメラに分類されるものではないけれど、贅沢なカメラである。それでいながらもプラボディであるというところが、外観は良い感じにチープな印象を受ける。だからこそ可愛げであって愛着が増す。

高級コンパクトカメラには概してAF機能も搭載されているが、このカメラはMF。であるからこそ、素晴らしく撮影行為そのものを楽しませてくれるようなカメラ。緻密な描写性が嬉しいばかりでなく、ピントを正確に合わせていく行為が高揚感を増してくれるところ。

ブログ:オリンパスXAで、萩の城下町を歩く。

長州藩、幕末の表舞台を歩く。

山口県の萩といえば、毛利藩の藩庁が置かれた城下町。後に山口市へとその中心地を移すまで、毛利氏のお膝元として江戸時代に栄えた。山々と海や川といった自然の要害に位置する萩城は、明治時代に廃城令が出されるまで君臨し、天下の堅城であったことは想像に難くない。そんな城下町は、文化伝統を現在にまで色濃く残しており、そこを歩けば古の風情を肌身で感じる事が出来る。萩で名物でもある夏ミカンは、武士の救済策でもあった。

萩の町を散策しながら、数多くの偉人たちに思いを馳せる。歴史が生活に根差しているということを実感するところ。明倫館や松下村塾など著名な学び舎も存在し、ここが明治維新を成し遂げる礎となった中心地であったことを思わせる。

オリンパスXA、片手に歩く。

オリンパスXAならば、長らく街を散策し撮り歩いていても何ら不自由無く、威圧感のない写真機。旅のお供として最良の存在となる。超軽量でいてコンパクト、手のひらに丁度収まり、ポケットに放り込み、取り出して撮る。旅そのものを撮影を通して愉快にしながら、持ち運ぶときには無意識でいて、ただ街に溶け込んでいく。

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このコラムの筆者
ZINEえぬたな

"古典は常に新しい"をモットーとして、相続されるべき普遍的な「価値」を次世代へ継承。

個人で編集するZINEをブログ上で運営。「えぬたな」は一つ一つの記事を読み切りとして編集。自らの写真と文章で、ヒトの思いを伝え、世の中の良いモノ、残すべきコトを紹介。

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