オニツカタイガーの定番スニーカー、TIGER ALLYを履いて一日中歩き回ってみるとすぐに実感する事がある。明らかに足裏の疲労感が軽減され、途轍もなく動きやすい。スポンジとGELを融合させた独自開発の軽量衝撃緩衝材、fuzeGELが搭載されたことで、弾むような軽快な足取りと、圧巻の歩き易さを実現している。
同社を代表するような製品であるタイガーアリー。この靴は、1980年代の名作ジョギングシューズ「ALLIANCE」をデザインベースにした、機能性の高いモデル。かかと部分を補強して抜群の安定性をもたらし、その優れたクッション性から心地よい履き心地を実現。足を入れた瞬間に感じる“包み込むようなフィット感”に優れた逸品である。かつての名作を昇華させた、現代にとっての新しき名品であることは間違いない。
Onitsuka Tigerとは。ASICSの前身、日本の心を昇華するアパレルブランド。
オニツカタイガーの創業者・鬼塚喜八郎氏は、戦後の1949年にスポーツシューズブランド鬼塚株式会社を設立。この会社が後のASICSとなる。由来は、ラテン語の”Anima Sana In Corpore Sano”の頭文字をとったもので、意味は「もし神に祈るならば、健全な身体に健全な精神あれかし、と祈るべきだ」というもの。そして、この言葉の意味そのものが創業哲学となっている。
実際、1950年に彼らが初めて作ったシューズは運動靴のバスケットボールシューズであり、続いて1953年にはマラソンシューズを発売。この時には既に、スピードと持久力を必要とするマラソン走法に適したシューズを開発するに至る。いずれのスポーツシューズも実際の選手たちの動きを観察、研究する中で生み出された渾身の製品であった。
その後、シューズメーカーであるオニツカ株式会社とスポーツウエアを手がける株式会社ジィティオ、ニットウェアを手がけるジェレンク株式会社の3社が対等合併し、総合スポーツ用品メーカー「株式会社アシックス」が誕生。それから数十年の時を経た2002年、ついにオニツカタイガーの復刻が達成されたのである。
そして、後年には日本の伝統と近代的感覚を融合するライフスタイルブランドとして確立されたオニツカタイガー。古典的と現代的の狭間で、芸術家や職人たちともコラボレーションしながら日本の心を伝えており、いつの時代までも色褪せることの無い輝きを保っている。またスポーツによる健全な青少年の育成という鬼塚氏の志は、こうした優れた製品を通して、今に引き継がれ続けているものである。
復活オニツカタイガー、名作アライアンスと新生タイガーアリーの違い。
ところで1980年代に評判を勝ち得た名作アライアンスと新生タイガーアリーの外見上の違いについては殆ど無い。アッパー部分のオニツカタイガーを象徴するような、シンプルでレトロクラシカルなデザインは健在。更にソール部分においては、アライアンスを筆頭にアシックスシューズに搭載されたαゲルを、現代的な技術と融合させる事によってFuzeゲルは生まれた。
これによりスニーカー自体の軽量化が実現されており、より靴としての基本性能が向上している。この靴を一度履けば、もっと歩くことがポジティブなものとなる。タイガーアリーにより達成された現代的な優れた機能性とレトロなファッション性の融合は、まさにアシックスにおけるライフスタイルブランド、2002年に復活が達成されたオニツカタイガーの命題を象徴する逸品である。
アップデートされたタイガーアリーの履き心地は極めて気持ちが良く、歩くという行為に対するネガティブな感情を一切忘れさせてくれる。その歩き易さや履き心地の良さは勿論、外見上のお洒落さも相まって、また明日にでも散歩に繰り出したくなるようなスニーカーだ。そうして新しい発見や素敵な出会いに導いてくれる水先案内人のような存在となってくれるのである。
タイガーアリーは、ジャングルでもコンクリートでも。
そもそもスポーツシューズであるから、どんなシーンにも馴染む性能の良さは折り紙付き。足を動かす行為に、もっと楽しみを見出すことが出来る。普段のカジュアルな履き方では、一番上まで紐穴に通さずに用いる。時としてより活動的な場面においては、最後の紐穴まで活用する。そうすると、どんな場面でも活躍を期待できる。適宜、活動量に応じて紐を緩めたり締めたりしながら、変化させられるのも紐靴の良いところ。
いつだって軽快で、歩きやすい。しかも長時間の使用に際しても、足裏への負担は相当割合に軽減されて疲れにくい。それがもしも自然公園であっても、コンクリートジャングルであっても、時と場合に依らずして活躍を期待できる。それでありながら足運びを決して邪魔することの無い軽量性が担保されている。日頃、ウォーキングに用いるにしても決して不足無し。それでありながら、ハイカラでお洒落なのである。
写真をしていると、比較的重い荷物を背負って、あらゆる場所に向かい、そして長い時間と距離を歩いたりするもの。そんな際でも、足底筋膜の炎症に繋がるのを抑えながら、緩やかな疲労感で収まるというのは嬉しい。ある時はカメラを背負って、ある時はカメラを片手に旅をする。そんなときには、いつだって足取り弾むスニーカーが頼もしい。
こうなると、立ち仕事などの場合においても活躍する事が期待される。または飛び跳ねたり、局所的で爪先に力が入る際でも、その後も痛み無く健康的な活動を継続できるのは、やはり嬉しいところなのである。石畳やコンクリートなど、極めて固い地面を歩き回る。そんな風に足裏への負担が極めて大きい場面では、ソールの優れたクッション性が真価を発揮。その恩恵の大きさに、特に感じ入るものである。
タイガーアリーのサイズ感を比較、普段よりワンサイズ以上UP。
タイガーアリーは、いつものスニーカーのサイズ感からすると、ハーフサイズの0.5cm以上は大きめに購入するほうが得策のようである。この製品と同じく2Eであるメレルのジャングルモック2.0などからすると、「ワンサイズ以上小さめ」といったようなサイズ感だ。横のふくらみを最小限に、よりスタイリッシュに履きたい場合は、2サイズ程度大きめに購入しても良いようである。
普段、スニーカー類は26.5cm程度で基本的には丁度良く履いている。その場合には、オニツカタイガーは比較的小さめの作りで、総じてワンサイズ以上大きめで購入するのがセオリーのようである。このタイガーアリーはつま先部分が多少細いデザインとなっている為、この場合も無理せずワンサイズ以上大きめで選ぶほうが丁度良いようだ。もっとも2サイズ大きめでも丁度良いという声が多い事は、ここに付記しておきたい。
小さすぎれば、どんなに素晴らしい靴でも苦痛になってしまうところ。丁度良く履くことで、その素晴らしい機能性を謳歌する事が出来る。または大は小を兼ねるという言葉通り、多少大きいくらいであったとしても、紐靴であればしっかりと結ぶだけで無問題という事になる。加えて、厚手のウォーキングソックスを履いたり、インソールを別途追加するだけでも、そのサイズ感は十分事後的にでも調整可能なのである。
さて上記の写真で示すのは、ジャングルモック2.0の26.5cmとタイガーアリーの27.5cmを比較したものであるが、そうすると殆ど長さや大きさが変わらないのである。このように鑑みれば、普段履きのスニーカーよりも上記で示す通り、ワンサイズ以上大きめで購入するのは一定条件のようである。
しかも上部から眺めてみても、2Eであるジャングルモック2.0の26.5cmとタイガーアリーの27.5cmの大きさはピッタリと一致する。更にはインソールを比べてみても、そのサイズは全く変わらない。そのような状況から省察するに、一般的な2Eのスニーカーサイズからすれば、ツーサイズ上である1cm程大きめで購入する事は、有力な選択肢と成り得る。
タイガーアリーは、メンズもレディースも共通。ユニセックス。
タイガーアリーのみならず、オニツカタイガーはユニセックス。カラーのラインナップが男女を問わずして共通している。というよりも男女共に同一製品のサイズしか考える必要が無いというのは嬉しい。こうしたところも、同社のマイノリティに対する配慮を伺うことが出来る。ちなみに同製品は、23.0cmから31.0cmまでという幅広いユーザーに向けて生産されている点も好ましい。
TIGER ALLYで、大地を踏みしめる。コーデと外観。
その外観は、スニーカーらしい古典的な見た目や形状をしている。それが故にスタンダードを極め、流行に左右されすぎることも無く、そうして全く古びれることの無い。新しい時代には、その時に応じて常に新しき風を吹かせてくれる。それはある意味で、自然科学的な法則や方程式が普遍的な価値を持つように、原理原則としての存在感。
特にカラーリングGRAY/SFGRのモデルであれば、スエード素材が用いられている事によって、外観全体に渡り上質感に著しく優れている。これによってアイテム単体としてのお洒落さや格好良さは、通常のスニーカーよりも確実にランクアップする。それであると同時にトータルとしてのコーデ全体をグッと引き締め、または纏めてくれる存在としても重宝する。
靴を履く際に必ず見える位置のロゴにも統一感。こうした配慮が実に嬉しいものである。紐靴、運動靴のフィット感をより高めるために必要なベロ部分。確かに足の甲に触れた際には、柔らかく押さえてくれる感覚も心地よい。因みに、ベロが履き込む際に下方に潜り込んでしまう場合には、この部分にも紐を通してしまう方法を採ると良い。
単色カラーで合わせるグレーコーデ、着こなしの利点。
特にタイガーアリーの定番カラーであるGRAY/SFGRの灰色に統一されたカラーリングは、他種多様な服装と組み合わせやすい。ところで、人の目は一般的に、明るい部分に特に視線が集まりやすいという。つまりは明るいグレーの場合、比較的落ち着いたコーデによっては、さりげなく視線が足元へ誘導される事になる。その場合にもシンプルであるが故に優れたデザイン性や良質な素材感が、まるで彫像のように際立って映えるスニーカーだ。
衣服がダークトーンのコーディネートである場合は、タイガーアリーが主役に成り得るし、もっと衣服のカラーリングを活かしたい場合には、タイガーアリーは脇役に徹することも出来る。そんな風に様々な顔を持ち合わせ、マルチな活躍を期待出来る名俳優のような存在だ。しかも、レトロでいて普遍的なシンプルさを持ち合わせているが故に、老若男女を問わずして必ずや誰しもが似合うスニーカーなのである。
評判を呼ぶ無類のカッコよさ、シルエットが映える。
オニツカタイガーの中でもタイガーアリーは、高機能ながらレトロな運動靴然とした形が好印象。特に化学繊維を用いないモデルにおいては、アッパーのスエード感が極めて上質さを湛えている。そして、そのスマートなシルエットは見事としか言いようがない。大地のみならず、都会的なコンクリートな質感にも映えるスニーカーである。
当然ながらサイドにはアシックスブランドを示すアシックスストライプ。1966年までは、オリンピックイヤーの度に変更されていたサイドストライプのデザイン。同年行われたメキシコオリンピックから型崩れを防止し、足を保護する機能を兼ねたこのデザインが定着化し、以後ブランドを示す役割も担っている。当初はメキシコストライプとして呼称されていたものだ。このデザインもシンプルな靴を邪魔することなく装飾。実に素敵に、そしてカッコいい。
コーデを締める、グレー/灰色スニーカーの着こなし集。
高機能ソールで踊る履き心地。インソールの取り外し不可。
履く際に上から覗き込めば、その目に飛び込んでくる純正のインソール。見る方向によって光輝き、良質感の漂う素材感。それは、いつだって履く者の心を躍らせる。見た目の良さだけに留まらず、軽量でありながら柔らかなソールは秀逸。それは、いつだって履く者の足取りを軽くする。ただしインソールは、取り外すことは出来ない事も留意したい。
インソールが取り外し出来ない為、若干臭いや汚れの付着が気になることもある。そんなときには別途、他のシューズ交換用インソールを差し込むのも好し。タイガーアリーには、黄色である方のニューバランス製のRCP130を使用。優れた軽量性、通気性、グリップ力が特徴の製品である。これはアーティストの三浦大知氏もパフォーマンス時に愛用している事で知られている。ちなみに青い方のRCP150は、より立体的な構造で優れた衝撃吸収性と歩行安定性を実現してくれるもの。
インソールを挿入する際、もしも大きさが合わない場合には、付属の型紙に沿って切り取れば良い。タイガーアリー27.5cmに対し、RCP130は26~27cmのLサイズを挿入。この場合、インソールの前方を1cm弱ほど切り取った。奇麗な灰色である事によって、脱いだ時の統一感も損なわず、寧ろ綺麗な状態を保てるのは嬉しい。これによって益々タイガーアリーの性能や寿命を向上させることが出来たりする。
タイガーアリーのお手入れ方法、スエードスニーカーの洗い方。
大切なスニーカー、汚れた時にはサッとお手入れ。可能な限り早めに汚れを落とすことで、落ちやすかったりする。また靴としての寿命も長く保つことが出来る。そして、出来る事なら、いつまでも綺麗な状態を保ちたいものである。その手間は案外掛からない。汚れた個所をブラッシングして、拭き取るだけで十分。ものの数分で完了する。
Step 01. 靴紐を取り、軽くブラッシング。
Step 02. ブラシを一度、水に浸す。
Step 03. 適量のソリューションをブラシに付け、再び水に浸す。
Step 04. しっかりと水気を切り、ソールで泡立てる。
Step 05. 出来立ての泡で、縫い目に沿って優しくブラッシング。
ブラッシングを終えたら、そのままの状態で乾いたタオルで水気を拭き取る。その際には軽く押さえるような感覚で行うと良い。まだ汚れが残っており、洗いが不十分な場合には、再度この工程を繰り返す。それでもしてみれば大した時間は掛からない。乾かす場合には、通気の良いところで陰干しすると良い。
洗剤として非常に有用なジェイソンマークのプレミアムシュークリーナーは、原料の98%以上が天然素材。天然皮革を用いたスニーカーにも安心して用いる事が出来る。たとえデリケートなスエード素材などに対しても、難なく使用できるのは嬉しい。ただし、その場合には柔らかな豚毛ブラシなどを用いてブラッシングする必要がある。同社製品なら、プレミアムシューブラシが該当する。
使用後の保管、洗った後の乾燥で。靴用除湿剤が有用。
洗った後は靴用の除湿剤を靴の中に入れておくと、痛みも少なくカビ対策などにも効果的。これは繰り返し使えて、保管時などにも常用できる為、その利便性は高い。そして臭い取りとしても効果を発揮してくれるのは有難いものである。
レビュー:そしてまた履きたくなる靴、タイガーアリー。
タイガーアリーの気持ちの良さは、圧巻である。この靴の運用に際しては、概してアスファルトやコンクリートなど人工的に舗装された場所、或いはフィールドアスレチックや自然公園など造成、整備された場所などで用いるとその真価を発揮する。一日中歩き回ったり、時に走ったりするのには、利便性高く用いる事が出来る。つまりは、界隈を歩き回り散策するような旅先でも重宝するアイテムである。
その際、ふわふわとした履き心地が気持ちよく、足裏への負担も極めて少なくしてくれる。そうして歩くという行為を、もっとポジティブに捉える事が出来るスニーカーなのである。タイガーアリーの備えたレトロクラシックな見た目の良さも相まって、都市空間において大活躍すること間違いなし。そして、ついついまた履きたくなる靴だ。夜の温泉街へ繰り出し、歩く、歩く。疲れ知らずの逸品。しかも、かかと部分には反射素材が用いられており、夜道も安心感が備わっている。
評価の高いタイガーアリーとジャングルモック2.0の比較表。
カメラやバッグと同じように、道具としてのスニーカーを考える。明確に使い分けて運用すると、更に行動の幅や快適性が向上したりする。そうしてその時その状況に応じて適宜選択。適した靴があることで、ようやく踏み入れる事が出来る場所もある。一歩先にある世界に飛び込むことに躊躇せず、思い立った瞬間の直感的な行動を大切に。実際に立ち回ることで、ようやく見えてくる景色を堪能。少しずつ見識を広げて実世界の理解に繋げ、自己世界との乖離を極力減らしたいものである。
生産企業 | オニツカ タイガー | メレル |
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製品名 | タイガーアリー | ジャングルモック 2.0 |
主な用途 | タウンユース | キャンプ アウトドア |
留め具 の種類 | レースアップ 紐靴 | スリップオン |
着脱の し易さ | 容易○ | 極めて容易◎ |
ヒール の高さ | 約3cm | 約2.5cm |
ソール の厚さ | 約2cm | 約1.5cm |
インソール | 取り外し 不可× | 取り外し 可○ |
生産国 | ベトナム | ベトナム |
特徴 | ・衝撃緩衝材 (フューズゲル 搭載) | ・衝撃緩衝材 (エアークッション 搭載) ・ビブラムソール 搭載 |
何と無くその時の気分や感覚に応じて選択するのも好い。更に靴は1日履いたら2日休ませるというのが理想的で、少なくとも1日は乾燥させた方が、寿命を伸ばすためにも良いとされる。そうすると、ローテーションで2足無いし3足程必要という事になろうか。とはいえ道具である以上、使わなければ意味を為さないといった所でもある。それぞれの好みに応じて厳選したお気に入りの精鋭たちをガシガシと履きこなす。それらはきっと、日々の暮らしを彩ってくれるに違いないのである。
タイガーアリーの特に優れたポイント。立ち仕事にも。
日本人について足の特性に詳しいアシックス。彼らが手がけるブランドの一つであるオニツカタイガーは、日本人にとって非常に履き心地の良いスニーカーであるように思える。アメリカ人にとってのニューバランスが「まるで雲の上を歩いているよう」だと喩えられるなら、日本人にとってはオニツカタイガーのスニーカーがそれに相当する逸品であろう。
ミレニアムイヤーを前後して欧州のファッション領域で、レトロトレンドが注目されていた。そんな時にオニツカタイガーも復活を遂げ、その後タイガーアリーも生産されたのであるが、完全復刻ではなく伝統と革新の融合。現代の技術を用いて機能性も追求も図られた。レトロな外観と現代的な機能を備えたタイガーアリーは、時代を超えて受け継がれていく名品として存在する。
特にオンロードで使用した際の歩き心地は最適で、フカフカとして気持ちが良い。長時間歩いても疲れにくいという点については、著しく優れている。そういう意味においては、立ち仕事にとっても優良オススメの逸品。特にグレーの場合には、シンプルなトーンで合わせるのにも役立つ。周囲と調和しながら逸脱せず、それでも決して没個性とはならないところがミソ。
タイガーアリーの苦手とするところ。
タイガーアリーの気になるポイントとしては、インソールの脱着が行えないところである。やはりスニーカー自体の寿命を延ばし、長らく使い続ける為にはメンテナンスは欠かせないところである。しかしその際、インソール自体を洗ったり、交換したりする事ができないところは、少しだけ弱点であると言える。
ただし、インソール自体を履き潰してしまった場合などにおいては、その上から新しいインソールを嵌め込むことで、多少問題を軽減させる事は可能である。または最初から薄いインソールを仕込む方法も考えられる。
コラム:人生の短さと、歩く速度の相関関係。
「人生は短い。」そう我々は先達から教わってきた。短い人生において時間の短縮、効率化は人類の命題のように思えてならないのである。しかし、「人生」というと単なる「時間」という尺度では測れないものでもある。
私たちの享受する技術は、以前と比べれば見紛う水準に達している。伝達という手段をとってみても、気軽に手のひらの中で会話が出来る時代となっているし、移動という手段をとってみても、徒歩から比べれば格段に高速化している。これは単に物事が効率化しているというだけでなく、以前より便利になり苦労せずして得られる豊かさの質が格段に上がっているという事。そのはずである。
しかし、短い人生を先人たちよりも有意義に過ごせているかという問題となると難しい。人間が記憶できる速度というのは限られている。新幹線で遠方へ行ったところで得られる感動は小さく感じてしまう。もちろん異文化に接触する事は出来るのであるが。ともあれ、先人たちは隣国、隣県へ行くだけでも様々な下準備が必要であったし、労力や時間が必要であった。
周りの景色を見て、地図と格闘しながら、時には他人の世話になりながら目的の地へ向かっていた。道程には、様々な香りが漂い、ある場所では木や花の香り、またあるところでは農耕肥料の匂い、またあるところでは軒先の煮炊きの香り、その他さまざまな薫りがあり、見る物は風景そして行きかう人間、休憩しては世間話。
もしくは、歩いている最中は目的地に着けるかどうかという不安。夜にならないかとヒヤヒヤしながら宿場を探さなければならないという状況も待ち構えている。一つ一つのことを成し遂げるにはあらゆる思慮をめぐらせる必要があり、また長い行程の間には、「人生」について考えるという余裕すらあったに違いないのである。
今我々が、暇さえあれば受動的なスマホやテレビというような情報媒体に向き合う。そのような時間を自分と向き合う時間。家族やその他の人と向き合う時間となっていた。そう考えると人生について真剣だったのは、先人たちだったのかもしれない。
確かに効率化によって時間的には短縮されたが、その中に短縮してはならない大切な部分までも見失ったのではないか。そう考えてしまうのである。果たして、道程をいちいち覚えているだろうか。果たして、目的の場所に辿り着くための勇気は必要であろうか。果たして、自分と向き合う時間はあるだろうか。
そのように考えてみると、先人たちより我々の人生のほうが薄く短いものになっているのかもしれない。「人生は短い。」きっとその尺度は「時間」というより、人生の「密度、質」であるに違いないのである。そしてタイガーアリーなら、歩く行為に対して積極的に導き、人生の質を色濃くしてくれるはずである。
ブログ:タイガーアリーで、別府の地獄温泉を巡る旅。
全国的にも有数の温泉地、九州は大分の別府市。湯治場としての歴史は勿論、観光地としても随一の人気を誇っている。町中のあちらこちらから湯気が立ち上っており、風情に溢れた町並みも魅力である。自然湧出の源泉である「地獄」を巡るコースは、特に有名である。もはやこの名は約1700年頃より一般的に用いられている呼称であるそうな。タイガーアリーを履いて歩く旅路、疲れ知らずのスニーカーであるが、温泉と掛け合わせたリラックス効果は絶大。汗をかき、汗を流す一連の流れが爽快。
地獄めぐりを足早にめぐり、温泉宿に向かう。ひと風呂浴びると、日が暮れていた。そこから温泉街へ再び繰り出すのである。するとあちらこちらから湯気が立ち上り、木製手桶のカタンと気持ちの良い音を辺りに響かせていた。そこかしこに点在する温泉からは、地元の人々が歓談する声も聞こえてくる。また外気は涼しく、民家の家々も窓を開け、窓際に佇み腰かけて団扇を仰ぐ人々の姿あり。温泉街には猫の姿も多く、人と猫と湯気の風情に身も心も清々しい。
日中の撮影には、ミノルタTC-1というコンパクトフィルムカメラにネガフィルムを挿入。夜間の撮影には、キヤノンEOS R5というミラーレスカメラに、ニコンAi-s 55mm/f2.8 microというオールドレンズを使用して撮影。足下には旅先での街歩きで大活躍のタイガーアリーという訳である。