Canon/キヤノンEF50mm F1.4 USMレビュー。ポートレートにも活用、ロングセラー単焦点レンズ作例ブログ。

Canon EFマウント

キヤノン50mmの単焦点といえば、撒き餌レンズとして著名なEF50mm F1.8ⅡやEF50mm f1.8 STMがある。それと同じ画角のLレンズとの狭間にあって難しい立ち位置であるはずのEF50mm F1.4 USM。しかしこのレンズは、それでも優れた描写やボケ感などに優れて定評があり、長らく支持されてきた定番レンズである。

1993年6月より販売開始され、約30年以上の長きに渡って超ロングセラーを続けている。基本設計は古いとはいえ、確立されたレンズ設計1が採用されている。その為、写りに関しては時代を経ても、決して古びれる事がない古典的なスタンダードさを保っている。マイクロUSMによるAF性能を備えながら、AF操作後にもMFでのピント合わせが可能なフルタイムマニュアル2仕様である点も重宝する。

キヤノンEF50mm F1.4 USM、オールドレンズライクな単焦点。

立体感とキヤノンらしい色味が、気持ち良い。

このEF50mm F1.4 USMレンズでも採用されているのが古典的で完成された6群7枚のダブルガウス型レンズ構成の設計。これは、標準レンズの帝王としても名高いCONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4などとも同様のもの。つまり、その写りの良さについては間違いないところで、加えて絞り羽根8枚によるボケ味の美しさについては、より円形に近い玉ボケが期待できる。

風景写真にも。

また光源が写り込んだ場面において、光芒が6本であるコンタックス名玉と比してキヤノンのお家芸でもある8本のEF50mm f1.4 USMで煩わしさを感じるか否か、そこに好みの是非もありそうであるが、やはり光芒も美しい。兎に角、このレンズが非常に取り回しが効いて扱いやすく、高い次元でバランスの取れた製品であることに疑いの余地はない。

柔らかみのある、心地よい描写。

重さと描写性、加えて価格についても均整の取れたこのレンズをキヤノンユーザーとして備えておくのは得策。Lレンズは光学性能や防塵防滴、堅牢製などに一般的に優れているが、その重さという問題が玉に瑕。長時間の行動では負担になってくる事実は否めない。また解像感が著しい現代レンズとは違った凄みが古典的なレンズには備わっている。

キヤノンユーザーの特権。

特に単焦点のノーマルレンズであれば、現代設計の最新レンズと併用しても、明るさとコンパクトさを両立する事ができ、そして投資に掛かる費用もコストパフォーマンスに優れる。

野焼きの場面。フットワークも軽い。

このような場面や状況に応じて持ち歩く機材を選択出来ることで、カメラを道具としてもっと活かすことが出来るようになる。またオールドレンズのようなフィルムライクな写りは、やはり好ましく魅力的。

レンズの基礎基本を学ぶ。熟練者も使いやすい逸材。

凄みある立体感。

レンズの一般的な性質として開放で甘くとも、絞ればシャープになるというカメラの基本と表現を学ぶにも最適な一本とも言える。それ以上にレンズの持った収差や歪曲、逆光耐性といったクセを表現の一部としても楽しみたいところである。EF50mm F1.4 USMは、特に写りに関して定評のあるレンズでありながら、オートフォーカスまでも可能であるというのはキヤノンの特権のようにも思えてくる。

夕暮れ時や、夜中での撮影にも。

個人的にはキヤノンユーザーとして、どちらかと言えばLレンズを主だって注目してきていた。しかし時を追うにつれて、フィルムカメラやオールドレンズも扱うようになり、巡り巡ってキヤノンのEFノーマルレンズにも回帰するようになっている。そうするとより愛着が湧き、EFレンズも非常に優れた描写性、表現力を備えている事に驚く。

山歩きに、軽快さを。

それに工業デザインとしても可愛らしく、扱いやすさに至ってはピカイチのものがある。例えば、堅牢製十分のLレンズの筐体やブランドを象徴する赤鉢巻。それらには当然に相応の信頼感と所有欲を満たしてくれるような魅力が備わっている。対してEF50mm F1.4 USMを含む、これらEFノーマルレンズの金鉢巻や小ぶりなコンパクト設計や威圧感の無さも秀逸。付き合えば付き合う程にその愛着は深まりゆく。

おさんぽ仲間として丁度良い。

軽く持ち歩き易い事で、いつ何時も持ち歩くことを可能にしてくれる。少しお出かけして、歩きながら好きな風景や被写体をパシャリと気軽フランクに撮影したいときには、結構重宝する。お手軽感や手への馴染み方はMF仕様のオールドレンズは非常に魅力的であるけれど、AF付のオールドレンズ感も異なる意味で気持ちが良い。

ポートレートにも、描画の柔らかさと立体感が美しい。

ポートレートでも活用できる。

比較的説明的な写真で用いても、主役が浮び上るような立体感を帯びる。絞り開放の敢えて柔らかい描写を活かして撮るというのもオススメ。かといって少し絞れば、滲みなども消えてシャープな撮影が可能になる。最新のカメラを用いても、オールドレンズのような美しい描写が可能。その風合いは極めて好印象で、表現を楽しみたいレンズでもある。

光を美しく捉える。

強い光源を必要とせず、柔らかな光だけで美しく描写する事ができるEF50mm f1.4 USM。背景が比較的雑多であったとしてもいい塩梅に捨象し、場所全体の雰囲気を捉えながらも被写体の注目度を上げてくれる。素晴らしく気持ちが良い描写。特にポートレートにおいては、難しく考えずともストライクを積み上げていくような写真が簡単に撮れてしまう。

カメラ片手にぶらり行く。

何か難しい事を考えなくとも、絞り値を操作する面白さに興じる。開放で撮れば、柔らかでソフトだけれど芯の通った清々しい写真が撮れ、絞って撮影すれば、単焦点ならではの均整の取れた緻密な描写が得られる。隠れた名玉であるというに相応しい逸品。キヤノンユーザーならば、是非とも手にしておきたいノーマルレンズ。

迷彩、浮び上る焦点。

最新鋭レンズ(例えば、Lレンズ)とは異なった扱う喜び、そして愛着深さは、取り回し易さにも比例する。その場所その瞬間を切り取る道具として、そのフランクな持ち運びやすさは何物にも代えがたい価値となる。特にそれが数々の思い出を遺してくれていればこそ、猶の事。例えば、暗い室内で家族を撮影する。そんな夢物語を敷居も低く、最適に実現してくれるレンズなのだから。

山歩きも楽しくなる。

美しく絞っても、開放でも気持ちよく取れるレンズ。画角と明るさ共に使いやすい。このあたりのスペックのレンズであれば、各社多くのレンズがあるが、万人の使いやすさは正義である。山登り、街歩き、様々な場面で持ち歩いて苦痛になることは無い。ミラーレス一眼と組み合わせれば、コンパクトカメラとも近からず遠からず。妥協しない手軽さが両得。

キヤノン: カメラ
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  1. 6群7枚のダブルガウス型レンズ構成の設計。CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4などとも同様のレンズ構成。ダブルガウスについては、アルヴァン・クラーク博士が1888年に特許出願したものが最初だとされている。 ↩︎
  2. フルタイムマニュアルとは、オートフォーカス後にマニュアルフォーカスでピントを微調整することをいう。 ↩︎
このコラムの筆者
ZINEえぬたな

株式投資の経験を赤裸々に綴った「新NISAにゃん株式ブログ」を更新中。休日は自然や古い町並みを歩き、スナップや風景写真を撮ってます。

株初心者として新NISAで日本株式を中心に熱中。民藝や郷土玩具、縁起物も好きで、オリジナル張り子招き猫・NISAにゃんを作って株ライフ生活の成功を祈願。

その他に"古典は常に新しい"をモットーとして、決して流行に左右されない厳選したあらゆるジャンルにおける定番名品を徹底解説するレビューもしてます。

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